イヴは嘘をつく(α×Ω)

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イヴは嘘をつく(α×Ω)

「きついよ。もっと緩めて、ここ」 「……ぅあ、む、むり……」  イヴは大きくかぶりを振って抗うが、許してもらえることはない。  背中でシーツを乱しながら、脚をばたつかせる。けれど、腿を押さえられているので、イヴの爪先はむなしく宙を蹴るだけだった。 「そうかな。ここの孔はもっと奥までって、グイグイ中に引っ張られるけど?」  普段は菩薩のように穏やかでやさしい神蔵(かぐら)だが、セックスの時だけひどく意地悪だ。  根元まで埋めこんだ指で、円を描くように内側を掻きまわされるのがたまらない。指の腹で弱い部分を責められる度に、イヴの喉からかすれた嬌声が漏れる。 「ぁ、あ、……ううっ」  ソコを擦られ、押したり引っ掻いたり、くすぐられると、目も眩むほどの快感で全身が痺れる。  気持ちいい。よすぎておかしくなる。  このまま弄られ続ければ、指だけでイけそうだ。もっともっとと、ねだるように腰を揺すれば、神蔵はあっさりと指を引き抜く。 「やぁ、ッん……いじわる、するなって」  男の指を失った後孔が、切なく震える。  空っぽで物足りない。触れて欲しい。 「そう? でも、イヴだって好きでしょ、こういうの」  二本に増えた指が入口に押し当てられ、一気に入ってくる。イヴは背中をそらして、後孔に神経を集中させる。与えられる刺激を少しも逃さないように、すべて味わいつくせるように。  二本揃って埋められた神蔵の指が、ピースサインの形に開く。指の股が閉じて開いてを繰り返す。  頑なな隘路を広げられる感覚は、何度経験しても慣れない。ローションを継ぎ足しながら、二本指で抜き挿しされる。十分に濡らされていても、こわばったままだ。  本当は、受け入れたいのに。イヴの気持ちとは裏腹に、体はすくんだまま固くなってしまう。発情期にしか潤むことのない窄まりは、いまは熟れることなく拒んでいる。 「ひゃあッ」  後孔をまさぐられ、もう一方の手で乳首を摘まれる。何度も押しつぶされ、きつく捻られる。手荒にされて痛いのに、同時に下腹部から熱いものがせり上がってくる。  痛くて気持ちいい。おかしいとは思うが、いいんだから仕方ない。  レーヴの客の前では妖艶に乱れてみせるが、イヴ自身はあくまで冷静に振舞っている。なのに、神蔵の前では演技一つできない。  心が制御できない。体がコントロールできない。  発情期でもないのに、抱いて欲しいと思うのは神蔵だけ。 「イヴはここも好きだよね。うんと虐めても、もう、こんなに硬くしちゃって」  執拗なほど乳首を嬲っている神蔵の肘先が、イヴの昂りに触れる。ほんの一瞬の接触でも、過敏になっている肉塊は痙攣するように首を振る。 「すごいねえ。先っぽがヌルヌルだよ。あとからあとから沁み出してくるね。こっちは、なにもしてないのに」  恥ずかしいことをされていると頭の隅で思うのに、嫌じゃない。神蔵になら、なにをされても感じるから。だから、もっと、与えて欲しい。痛みでも、羞恥でも、快楽でも、激情でも。なんでもいい。ただ、欲しい。 「……んぅ、ふッ、うぅ、」 「ああ、少しやわらかくなってきた。ここでしょ?」 「あぁ……いい、イイ、イイッ!」  すっかり固くなった凝りに、神蔵の舌が当たる。唾液が垂らされる感触に慄然とする。イヴのそこは唾液がたっぷりとまぶされる。  上下の唇に挟まれ、やんわりと押しつぶされる。やわらかくて、少しざらついた唇が擦れる度に、体の芯が震える。  神蔵の顔が動く度に、少し伸びた前髪が鎖骨の下に触れる。くすぐったいけれど、イヴの体はそれどころではない。乳輪に尖った歯が当たる。強く吸い上げるような動きと同時に、軽く噛みつかれる。 「ああッン……」  ビュクッと屹立が揺れる。胸の先を吸われ、体の内側から前立腺を刺激され、弧を描くように腰が浮く。 「あっ、神蔵ッ、もっ、ほしぃ……お、ねがい、」  指なんかじゃ足りない。神蔵の生々しい欲望で貫いて欲しい。 「もう一本、ここに上手に飲みこめたら、ね?」  顔をあげた神蔵の熱い息が、濡らされた乳首にかかる。あやすように舐められながら、三本目の指が後孔に捩じこまれる。イヴは大きく頭をそらして喘いだ。
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