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屋上に出ると風が気持ちいい。
日は当たるし、風邪は気持ちいいし変な教室よりも空気が良い。
「やっぱりここは俺の癒しの場所だな」
雅紀は定位置の良く日が当たる屋上で丸くなって眠った。
…何故だろう。夢だろうか。目を瞑ってると頭を撫でられてる気がする。凄く気持ちいい。
何時ぶりだろうか。いや、こんな事された事があっただろうか?夢にしてもリアルな感覚で心地良かった。
それは思わずすり寄ってしまうほどに。
そして、急にその感覚が無くなって夢が終わったのかと目を開けたそこには先程の男前な顔立ちに服の上からでもわかる程よい筋肉でスタイル抜群の男が座っていた
「…だれ?」
「さっき名乗ったが?というかそれは俺の台詞」
普通に声を掛けてくるこの男は何なんだろう。
何故ここにいるのだろう?俺がいるから、誰も来ないはずなのに。
「そんな顔の癖に、すっげぇかわいー寝方すんのな」
「文句あるか?」
「いいや、別に?何でいつも屋上なんだ?」
そう言われてつい言葉が止まってしまった。
笑われるだろうか。暖かいから。なんて。
人の温かみが分からない俺に無償でくれる温かさなんてものは太陽しか知らない。
「…あったけぇから…」
「…なんか、お前イメージと違うな。もっと野蛮かと思ってた」
「…皆が勝手に俺をそうするんだよ。俺は別にヤンキーじゃない。授業サボんのも、皆が集中出来なくなるから。俺も家で自分でやってるから。」
そう言うと何故か男がクスクスと笑い始めた
「お前、結構普通だな。高谷組の息子だなんて言われてるくせに。それ、俺なのにな。」
「…悪いか…。というか…お前は俺が怖くないのかよ…?」
そう言うと高谷玄白の笑いは激しさを増した
「ハッハッハ…ッ…ヒィwそりゃあな。家に居んのも全然変わんねーもん。同じくらいの強面がめちゃくちゃいるぞ。」
死ぬほど笑わられたけど、嫌な気持ちはしなかった。
むしろ…少し嬉しかった。笑い飛ばしてくれたことが。
怖くないと言ってくれたことで…胸が熱くなった
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