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高谷組へ
雅紀は玄白の家を見て来なければよかったと後悔した
それは紛れもなく、うちの近くの高谷組の門の目の前で古い日本式の豪邸と言ったような造りの家と門はあからさまなヤバい雰囲気が漂っている
門が開き、覚悟を決めてあとを着いていくと通り過ぎる度に強面の男の会釈と挨拶が待っていた
帰りたい…
そんなことを思いながら、身体を隅々まで綺麗にされた俺は玄白の部屋で心底疲れきっていた
足腰もガタガタだし男としてのプライドもズタボロで。本当に俺にはなんにもない。
ふかふかのベッドにタオル。挨拶してくれる部下。
同じ『高谷』なのに凶悪な悪人面なだけでこんなにも違う。
これならいっそ本当に高谷組の若頭だった方がまだよかった…なんて思えてくる。
…なんか…馬鹿らし。止めよ。
どうせここも寒いんだ。早く出て行こう…変な事に巻き込まれないうちに。
そう思った俺はこの時既に、玄白の思惑に乗せられていたとはまだ知らない
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