2人が本棚に入れています
本棚に追加
私はもう、人を好きになれない。
恋だけではなく、何にも熱を上げる事が出来ない。
愛した人も、小さい頃から打ち込んだ趣味も、生きがいにしたもの全て、赤に壊されたのだから。
あいつは、私のものを全て灰色と変え、手の届かない場所へ拐っていった。
もう返って来ない。
あいつは笑って、何も出来ない私を見下ろしていた。
パチパチと鳴らす音も、私を馬鹿にした拍手のようで……。
あれから、私の中は冷えきってしまった。
その時に、心まで壊されてしまったのかもしれない。
好きな物、気になった物を手にしても、昔のような燃え盛る何かを感じなかった。
そう、私の中身は……。
「そうだ。君にイメージカクテルを作ってもいいか?この1杯は奢る。」
突然の言葉に、私は我に返った。
「何よ急に……別に、いいけど。」
最初のコメントを投稿しよう!