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「あぁ、よかった。というより、もう出来ているんだ。」
「え?」
「上の空だったから、気づかなかっただろう。」
私の前に置かれた物は……
赤いカクテル。
それもブラッディ・メアリー。
血のようにどす黒く。
あの炎ように、憎々しい。
「あなた……何のつもり?」
自然と、肩が震える。
今すぐにでも、こいつをぶん殴りたかった。
「君をイメージして、作った。」
悪びれもせずに答える。
ふつふつと、沸き上がる何か。
いつ噴き出すかわからないそれを、抑えるのに必死だった。
頑張って平然を装おうにも、口調には出てしまう。
「答えになってない。私が赤を嫌っているって知って、こんな事をしたのは何でよ。他にもカクテルはあったでしょ。何でよりによって、これなのよ。」
怒鳴りはしなくとも、怒気を十分に含んだ声が出た。
「フローズン・ストロベリー・マルガリータと迷ったんだ。可愛くても冷たすぎるあの子より、そっちの方が君らしい。」
「それも赤いじゃないの。馬鹿にして……こんな恐ろしいカクテルを……あぁ、私を恐ろしいって言ってたものね。」
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