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゛赤い月は嫌い"
そう呟いて立ち止まったままうっすらと赤い月を見据えていたミナトが振り返る、その顔にはいつもの笑顔がもどっている。
゛アカリ、……月が綺麗だよ゛
月を背にして透けた手を伸ばして私の頬に触れ微笑むミナト。
ミナトはとても残念なイケメンだ。
声だって甘みのある心地よい低いさがあるのに……。
死んでさえなければこのシチュエーションは最高にときめくのに……。
それでもガラス細工を扱うかのように私に触れるミナトに触れられた箇所がじんわりと熱がこもる。
夏は間近。
私の髪を拐っていこうとする潮風は日暮の雨上がりのせいかひんやりと冷たさを含んでいるが、じんわりと熱くなる身体を冷ますにはとても心地よかった。
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