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おばあさんは嬉しそうに私の頭を優しく撫でてくれました。
このおばあさんは誰なんだろうと思っていると、早乙女先生が心配して水場まで見に来てくれた。
「中々戻って来ないから心配したぞ! あっ! お久しぶりです叔母さん」
「あら敦也くん、久しぶりね」
「はい!」
朝陽 彩夏さんのお母さんって事なのかな?
「本当に大きくなったわね、結衣ちゃん」
「すいません、叔母さん今立花妹は記憶がないんです」
それを聞くと、とても悲しそうな顔をしていた。
私は何か出来るわけじゃない、寧ろ何もしてあげられない。
「あの……すいません」
「良いのよ謝らなくても、謝らなきゃいけいのは私の方なのだから」
「叔母さんそれはまだ……」
「そうね」
早乙女先生と朝陽さんのお母さんとのやり取りが気になったけど、今はそっちに気を回す余裕はなかった。
「さて、彩夏が首を長くして待ってるから行きますか」
早乙女先生は私が組んだ手桶を持って、先に行ってしまった。
その後に続いて、私と朝陽さんのお母さんが向かう。
その途中、何かを聞かれるかと思ったけど特に聞かれる事はなかった。
お墓参りを終えて私は朝陽さんのお母さんに話を聞こうと思ったけど、何だか話しかける勇気がなかった。
と言うより怖かったのかもしれない。
聞くことで私自身の心が耐えられるのか、それにあの「謝らなきゃいけいのは私の方なのだから」と言う一言に聞くことへの抵抗が生まれた。
聞いてはならないようなそんな感覚に。
聞いてしまったら最後、私がどうなってしまうのか。
結局、私は聞くことが出来ず早乙女先生の車で家まで送ってもらった。
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