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今日もまた蒼空のいるあの大きな赤い鳥居のある神社に行く。
本殿にあるちょっとした縁側が蒼空の定位置。
その隣で仰向けに寝っ転がって夏の高い空を見上げるのが私の日課となっていた。
今日も蒼空は、縁側で高い空を見上げていた。
でも今日は何だか難しそうな少し顔をしていたように見えた。
「ねぇ蒼空、おはよう!」
「あっおはよう、珍しいな朝から来るなんて」
「えっ何となく」
「いつもは午後に来るからびっくりしたよ」
そう言うとまた蒼空は、高い空を見上げながら難しい顔をした。
何で難しい顔をしてるのかな? もしかして、いつまでも私が記憶を取り戻そうとしないから?
「ねぇ何で難しい顔してるの?」
「ん〜、ちょっとな」
「ちょっとってなに?」
「いや、色々あるんだよ」
「そうなの?」
気になったけど、あんまり深く聞かない方がいい気がしてその後は特に何か聞くことも無くいつもの様に私は縁側に横になった。
ゆったりと流れる時間は私にとって心落ち着く。
暫く高い空を見上げていたら、心地のいい風が吹きあまりの気持ち良さに眠ってしまった。
眠くなかったのに、まるで眠らされたようなそんな気もした。
「こんにちは、夏葵ちゃん結衣ちゃん」
「「こんにちはー!」」
「今日は2人でお買い物?」
「はい、本当は夏葵だけ行くつもりだったのに結衣も行くって言うから連れてきたんです」
「そうなの偉いわね」
これは私の小さい時の夢?
でも、どうして今なの。
この人何処かで見たことある、朝陽さんのお母さん。
何で私達の事を知ってるの?
「気をつけて行くのよ」
「「はーい!」」
これは、駅前の八百屋さんかな?
「夏葵、結衣!」
「「あっお母さん!」」
あれが私のお母さん?
綺麗な黒髪で綺麗な瞳、まるでモデルみたい。
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