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私は夢を見た、それはとても悲しい夢。
ピンク色のボールを追いかける小さな女の子が道路に飛び出し、小さな女の子を歩道側に突き飛ばし、トラックに引かれる夢……。
目が覚めると、私は病室にいた。つまり戻ってきてしまったみたいだった。
ただ1つだけ収穫はあった、あの大きな赤い鳥居の場所が分かったこと。
そんな事を考えていると、病室の扉が開いた音がした。
「あっ! 目を覚ましたんだね、もぉ心配したんだから!」
知らない可愛らしい女の子に心配された。
心配してくれるのは嬉しいけど、この女の子は誰だろう。
「それに携帯、電話したのに出てくれないし」
携帯? そんなの私は持ってたかな?
私は近くに置いてあったポーチを取り、中を漁り始めた。
その様子を見ていた女の子は、私からポーチを取ると、中から携帯を取り出した。
「もぉこれだよ! これ!」
女の子が渡してきたのは、私がバスに乗り降りの時と電車の乗り降りで使ったカードだった。
まさか、これが携帯だったとは。
あっでも光ってたかも?
「ごめんなさい……それで貴女は誰?」
私がそう言うと、女の子は少し寂しそうな顔をした。だけど、直ぐに頭を左右に振って元の可愛らしい女の子の顔に戻った。
「全く! お姉ちゃんのことを忘れるとは何事か! まっしょうがない、私の名前は立花 夏葵」
どうやら、私のお姉ちゃんだったらしい……ということは、私は妹なのか。
でも、やっぱり記憶がない。
必死に思い出そうとしていると、夏葵……お姉ちゃんが「無理に思い出さなくても大丈夫」と言ってくれた。
それは嬉しかったけど、私は焦っていた。
それは私には記憶がなくて、自分が何者でどんな女の子だったのか、どんな性格で何が好きで何が嫌いだったのか。
様々な事が分からなくて、辛かった。
「お、お姉ちゃん……私って何歳なの?」
夏葵お姉ちゃんは、笑顔を見せると「今年の春から高校生になったのよ」と教えてくれた。
ということは、私は15歳なのかな?
「あっ! 結依の誕生日は7月7日だよ! ちなみに夏葵は6月7日ね」
ちゃっかり自分の誕生日を教えてくる可愛らしい一面もある夏葵お姉ちゃんに私は思わず「可愛い」と言ってしまった。
すると、夏葵お姉ちゃんは頬を赤らめて恥ずかしそうな顔をしていた。
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