一、新しい玩具

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 甘味屋でぜんざいをつつき、沖田はううんと唸った。 「アハハ……信じられませんよね」 乾いた笑い声を上げ、琴子は後頭部を掻いた。私は百五十年以上未来から来た、違う時代の人間なんです……だなんて。信じてもらえるわけがない。  小豆を木の匙ですくい上げ、それをまた器に戻し、でも、と沖田は口を開いた。 「僕は信じるしかないと思いますね。異国人を見かけた人の話では、あなたのような奇抜な服は着ていなかったはずですし。そんなに足を出して咎められないのなら、やはり文化や環境が違う所から来たと考えるのが妥当かな、と」 奇抜な、と言われ、自分の服装を見下ろしてしまう。確かに、洋装でも膝よりも短いスカートを履き始めるなんてずっと先だろう。 「知らない世界、そして文無し。可哀想になぁ」 他人事のように言い、沖田は遊んでばかりだったぜんざいをようやくぱくりと頬張った。幸せそうに咀嚼する。 「とりあえず、お金を貸すだけでは解決しないと思うんですよね。住む場所もないのだし、戻る方法はあるのかも分かりませんし」 言葉を切り、首をひねる。仕草が不相応に子供っぽく、ともすれば美少女にも見える容貌をさらに少女めいて見させている。 「ともかく、うちの者に掛け合ってみましょう。部屋くらいは提供できるかもしれない」  本当ですか、と言いかけた琴子の口が最初の一文字を発音した直後、人のいない店内に男が二人駆け込んで来た。 顔面蒼白で、店内に沖田の姿を認めた瞬間大声を上げる。 「あーッ!!いた!!」 「総司!!」 沖田がちろりと舌を出した。
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