【第2話:ぷぷぷ】

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【第2話:ぷぷぷ】

「あれ? おかしいな?」  見慣れぬ道に入って砂利道を歩いてるんだけど、微妙に茂った樹木で方向感覚がおかしくなってしまいました。  でも、分かれ道とかは無かったから大丈夫と、気にせずそのまま進んでいたのですが……、 「ま、迷った……」  バイト中に迷子の子供を案内所まで連れていったことは何度もあるけど、まさか自分が遊園地の中で迷うとは予想外です!? 「あきらめて引き返しますか……」  そう言って振り返った私の目に飛び込んできたのは、古びた真っ赤な鳥居でした。  それにさっきまで砂利道を歩いていたはずなのに、いつのまにか足元が苔の生えた石畳になっている気がするのですが……。どういうこと? 「ななな、なに!? 私ってばとうとうおかしくなった!?」  いつも友達からは「変わってる子見習い」とか「おかしな子見習い」とか「不思議ちゃん見習い」とか言われてますが、これはとうとう私の頭がおかしくなったのでしょうか!?  そんな風にちょっとプチパニックを起こしていた時です。  仔犬のような影が私の後ろから前に駆け抜け、鳥居をくぐって走り去っていきました。 「え!? 仔犬? 違う! キツネだ!? ちょっと待ちなさ~い!」  この遊園地には小動物とふれ合える『みんなともだちナカヨシどうぶつ広場』という場所があります。  きっとそこから抜け出してきたのでしょう。 「ちょっと待って~! ……て、あれ? キツネなんていたっけ?」  少し疑問に思いながらも鳥居をくぐった時でした。  突然目の前に祠が現れたのです! 「ひょぇ!? びっくりした~!」  そこまで大きな祠ではなく、2mほどの小さなものでしたが、周りの石畳などが苔で包まれている中、汚れ一つなく、あまり見た事のない綺麗な石で作られていて、凄く神秘的な雰囲気のものでした。  驚きで忘れてましたが、そう言えばさっきのキツネさんが見当たりません。  驚いている隙に見失ってしまったようです……。  見失ったその姿を探してキョロキョロとしていると、目の前の祠の上にいつの間にかちょこんとキツネさんの姿が!? 「ちょ、ちょっと、そんなとこ登ったら危ないよ!?」 『ここは儂の家じゃ。あぶのうないわ。それより、お主は導かれたのじゃが、気付いておるか?』 「へ……?」  ちょっと待ってください。  私はアニメもラノベも大好きな自称「オタク見習い」ですが、現実と2次元の違いぐらいはつくつもりです。 『おい。聞こえておるのか?』  実は私はまだ寮のベッドの中で夢をみているのですね! わかります! なにが? 「わたしってばやっぱり頭がおかしくなってしまったようです……キツネさんが話してるように見えるのです。それじゃぁ、そういう事で……」  私は深くお辞儀をすると、そのまま回れ右して帰ろうとしたのですが、なぜか足が前に踏み出せません。 「ぐぬぬぬ……足がが……」 『中々おもしろい奴じゃのう? ほれっ』  キツネさんがそう言うと、私の体がクルッと半回転してキツネさんと目が合います。 「やっぱり現実なんです!? わわわ、わたしを食べても美味しくないですよぉ!?」 『食べたりはせぬ。まぁとりあえず落ち着いて話を聞くのじゃ』  私は混乱しつつも、他に選択肢もないのでキツネさんの話を聞くことにします。 『儂は、この土地を治める土地神の【天狐とまり】。【おこんこんさま】と呼ぶが良い』 「え? 恥ずかしいから嫌ですけど?」 『え?』 「え?」  だって「おこんこんさま」とか、ぷぷぷっです。  人前でそんな呼び方出来ないよね? 『……あぁ、良く聞こえなかったようじゃ。儂は、この土地を治める土地神【天狐とまり】。【おこんこんさま】と呼ぶが良い』 「え? だから恥ずかしいから嫌ですけど?」 『え?』 「え?」  これ何回繰り返すんだろ? 『や、やはり、な、中々おもしろい奴じゃのぅ……って、【おこんこんさま】と呼ばぬかぁ!!』 見た目は子ぎつねさんなのに、何だか纏っている雰囲気が尋常じゃないやばさを感じるのです!? 「うわぁ!? はいぃ! 呼びます! 【おこんこ……ぷぷっ………んさま】!」  あ。笑っちゃった……。 『い、今笑ったぁ! 古くから伝わる儂の呼び名を笑ったぁ!?』 「ソソ、ソンナ、ワラッテナンテイマセンヨ?」  なんか凄くジト目で見られている気がするのです……。 『ま、まぁ良い。それより時間がないから本題に入るぞ……』  そう言って、お、おこん……こんさまは、話始めたのでした。
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