【第5話:ペンタチコロオヤシ?】

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【第5話:ペンタチコロオヤシ?】

「ね~? 凄い夢でしょ~? 子ぎつねが喋るとか私もどれだけ妄想好きなの!? って感じだよね~」  私はさっき見た()()()を五月ちゃんに話すのですが、五月ちゃんは何か頬を引き攣らせています。 「ねぇ? 姫衣菜ちゃん。その夢の最後に貰ったって言う護符は、黒の五芒星に赤色で犬の足跡みたいなマークがついてたりしなかった?」  あれ? なんで五月ちゃんがその事を知っているのでしょう?? 「それでもってね。おとめさんって、ピンクの着物着た、かわいいおかっぱの日本人形だったりしない……?」 「あれれ? 五月ちゃんよく知ってるね? あれ? さっき話したっけ?」  五月ちゃんが私の頭……じゃなくて、さっきまで着ていた着ぐるみの『ガオガオくん』の頭を指さして、震える声で続けます。 「でもってね……き、き、姫衣菜ちゃん……そ、それってその子じゃない!?」  私はすご~く嫌な予感を覚えながらも、ぎぎぎと振り向くと、そこには白昼夢のはずの日本人形のおとめさんが、護符を持って浮かんでいるではないですか!? 「ふぎゃぁ!? やっぱり白昼夢って事にするのには無理があったのです!?」 「きゃぁぁぁ!? なな、なに!? 姫衣菜ちゃん、あれなに!?」  二人で抱き合って叫んでいると、おとめさんが話しかけてきました。 『うるさいわい! まったく……お主は本当に油断も隙もないな……なに儂の存在をお主の夢の中に封じ込めておるのじゃ……』 「きききききき姫衣菜ちゃん!!?? しゃ、喋ったよ!!??」  五月ちゃんが叫びながら私にぎゅぅって抱きついてきます。  あっ、ちょっと幸せかも……。 「なんだ。これが幸せってものですか」 「なにそこで一人達観してるの!?」  せっかく美少女に抱きしめられると言う幸せシチュエーションに浸っているのに、五月ちゃんももう少し雰囲気と言うものを考えて欲しいものです。 「まぁアレです。さっき五月ちゃんに話したことが、全部白昼夢じゃなくて現実だったって言うだけですよ?」 「ぁぁ~なるほど……って、ならないよ!? これってどうなってるの!?」  内心、パニックで涙目になっている五月ちゃん萌え~とか思っていると、後頭部に今日何度目かの衝撃が……。 「はぅ!? だから痛いのですよ!?」 『お主は何を遊んでおる……それより、ちょっと不味い事になった』  仕方がないので、五月ちゃんの頭を撫でながら聞いてあげる事にします。 「五月ちゃん、おこん……ぷぷっ……こんさまは、大妖怪だけど、今はたぶん土地神さまらしいから、たぶん大丈夫なのです。たぶん」 「姫衣菜ちゃん……何か大妖怪とか、たぶん推しとか、色々不安なんだけど!?」 「まぁまぁ、たぶん大丈夫だから、ちょっとおこん……こんさまのお話聞いてみるね。それで、何が不味い事なんです?」  役得とか思いながら、おこんこんさまに聞いてみる。 『……緊急事態じゃなければ、後頭部百叩きの刑 にするところじゃが……仕方ない。今は我慢しておくとするか』 「せめて百叩きはお尻にして!? じゃなくて、今だけじゃなくて、未来永劫我慢してくださいです!!」  何かおとめさんの瞳がすごいジト目になっています……。  そんな事まで出来るとは、おそるべし人形使い! 『それで……話しても良いか?』  こ、これが神威って奴でしょうか!? 凄い威圧感で五月ちゃんが白目に!?  私もちょっと怒らしすぎてしまった気がするので、全力で頭をぶんぶんふって頷いておきます。 『実は封印はまだ当分大丈夫なのじゃが、封印から漏れる妖気にひかれて凡妖が一匹この園内に紛れ込んできよった』 「え、園内ってこの『護摩富(ごまとみ)山上遊園地(さんじょうゆうえんち)』の中にって事です?」  これは思ってた以上に大変な状況かもしれません。  この護摩富(ごまとみ)山上遊園地(さんじょうゆうえんち)は、ほとんどが小さな子供連れのお客さんなのです。  かくかくしかじかによると、凡妖はそこまで強くないはずですが、子供が襲われたらひとたまりもありません! 『そうじゃ。もう中に入り込んで悪戯(いたずら)を始めておる』 「え? 悪戯ですか?」  五月ちゃんが、ちょっと拍子抜けと言った感じで聞き返していますが、案外馬鹿にできないのです。  神通力の【かくかくしかじか】で受け取った知識によると「え? それ悪戯ってレベル(ちょう)超えてない?」って言うのを『悪戯』の一言で片づけているので、きっとおこんこんさまも常識がちょっとズレてるはずなのです! 『そうじゃ。その凡妖の名は【ペンタチコロオヤシ】と言う元はカラスの妖怪じゃ。松明をかざすお化けとして知られておるが、実際には妖力が高いものはその松明の光で人の視力を奪う厄介な奴なのじゃ』 「それってやっぱり悪戯のレベル超えてませぬか……?」 「どこが悪戯ですか!? かなり危ないじゃないですか!?」 『だからこうして慌てて出てきて話をしておるのじゃ』  おこんこんさまが、そう言った時でした。  窓の外が眩く輝いたかと思うと、何人かの人の悲鳴が聞こえてきたのでした。
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