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プロローグ
AM.11:00
─ガララララッ
「アカネ、点滴の時間よ。」
私は、この時間が一番憂鬱。
自分の手の細さを見る度に、胸が締め付けられる。
「アカネ、どうかした?」
主治医のナミちゃんは、私に聞く。
そして私は、当たり前のように答える。
「なんでもないよ。」
ナミちゃんだけには、迷惑をかけたくない。
私が入院した日から、ずっと私を支えてくれた、
家族同然の主治医さんだから。
「アカネ、思いつめないでね。」
優しい目で、私を見ないで。
「うん、ありがとう…」
としか、答えられなくなるから。
もう、治療をやめてほしい、だなんて
言えなくなるから…
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