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血の繋がり
──五年前
「それ本当なの!?」
「しっ、声が大きい!」
「ご、ごめん。でも、それって…」
「ご両親は、アカネを捨てる。遠回しにそんなことを言ってるのよ。」
「なんで?
自分の子どもを捨てるなんて、ありえない!」
「もし、自分の子どもじゃなかったとしたら?」
「え?」
「どういう、こと?」
「もし、アカネが養女だとしたら?」
「それは…」
「ご両親から聞いたの、間違いないわ。」
「そんな…」
「アカネ、余命宣告されたでしょ。その分の治療費だけ払ってったわ。」
「それ、アカネちゃんは?」
「知らない、絶対に言えない。口が裂けても言っちゃダメよ。」
「分かった…」
──現在
ナミちゃんと、看護師のアイちゃんの会話。
どうしてあんな大事な話を、病室の前でしたかな…
廊下、意外に声、響くのに。
正直、私が養女なのはどうでもよかった。
A型の母親とO型の父親からは、B型の私なんて生まれるはずがないって分かってたから。
母も、父も、私を本当の娘のように扱ってくれたから。
血の繋がりなんて、私たちには関係なかった。
そう思っていたのは、私だけだったみたい。
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