第二十四話 ヴィレッジ・オブ・ザ・デッド マウナside

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第二十四話 ヴィレッジ・オブ・ザ・デッド マウナside

 マナカさんの指示通り私とベティさんにアルティアさんは村の南の門に向かって走り出します、外は結構な騒ぎになっていました。ゾンビはそこそこの数がいるようで村人と村の衛兵がゾンビと戦いつつ女性や子供老人を逃がすために誘導しています。  マナカさんの予想ではこの混乱に乗じて盾を盗みに来るとの事でした、マナカさんが一人で守ると言っていましたが敵も手段を選らばなくなってきたので心配です。  急いでゾンビを倒してマナカさんの救援に向かいたいところですがマナカさんを信じてゾンビの殲滅を急ぎます。 「マウナちゃん、このゾンビ比較的死んで間もないわよね?」  ベティさんがゾンビを見てから私に話しかけてきました、私もゾンビをよく見るとゾンビの魔力の流れが少しおかしいのに気づきました、これは自然発生タイプのゾンビじゃないです。 「そうですね、これおそらくは死霊術による人工ゾンビです。噛みつきによる感染は無いと思うのでそこは安心していいかと思います」 「わかったわ。しかし凄い数ねぇ、五十以上いるわよこれ」  入り口付近にまだ五十近くのゾンビがひしめいています、これが村に入って思い思いに動かれると倒すのに余分な時間がかかってしまします、そうなるとマナカさんの所に行くのが遅くなってしまいます。  それは困りますマナカさんには魔王とバレないように魔法を制限するようにと言われていますが限定的に火属性の上級魔法を使用することにします。 「ベティさん、人工のゾンビも頭を狙ってください頭部を破壊すれば動きは止まります、アルティアさんは逃げ遅れている村人を誘導してください」 「了解よマウナちゃん」 「わ、わかりました」  アルティアさんは逃げ遅れた村人の誘導をはじめてくれました、ベティさんの方もメイスを片手に持ちもう片方の手には盾を構えて近くにいたゾンビの頭を攻撃しています。  私も近くのゾンビに魔法攻撃を仕掛けます。 「――ファイア・ジャベリン!!」 炎を槍がゾンビの頭を貫きます。 「マ、マウナさんって三属性も魔法が使えるんですね……わ、私は治癒支援魔法と低レベルの水魔法しか使えないから、す凄いです」 「しかも、闇も火も風も上位までつかえるみたいよねぇ」  アルティアさんとベティさんが私を褒めてくれます、少しくすぐったいです。 「マウナちゃん、あのゾンビ集団を一掃することはできるかしら?」  ベティさんが私にゾンビを一掃可能か聞いてきましたので私はできると答えました 「範囲の火魔法を使用することはできますので一掃可能です」 「流石ね、じゃあお姉さん頑張っちゃうわね。はやくマナカちゃんを助けにいきたいんでしょ?」 「そ、そうですけど。マナカさんは強いのできっと大丈夫ですよ」 「まあ、そうよねぇ。マナカちゃんの戦闘センスって凄いものね」  ベティさんの言葉に私は自分の顔が赤くなってることに気付いてしまいました。 「アルティアちゃん、誘導してるところ申し訳ないけど支援してくれるかしら?」 「わ、わかりました。――ドゥ・エルボ」  ベティさんの身体が淡く光り出しました。アレは防御アップの魔法です。支援強化魔法は下位魔法でも他の魔法より難易度が高く無詠唱で使えるというのはアルティアさんの技量と適正がとても高いという証拠です。  普通は適正があっても下位ですら簡単な詠唱を必要とします。 「ぼ、防御力を上げる魔法です、ベ、ベティさんにはこの魔法が良いかと思います」 「十分よ、今からゾンビを抑え込むからマウナちゃんは魔法の準備をお願いするわよ」 「わかりました!」 「うおおおおお!!」  私が返事をするとベティさんはゾンビの群れに向かって走っていきました、ベティさんはオカマですがとても頼りになる人です。  ベティさんが群れに到着するとゾンビがいきなり数匹吹き飛びます、何かベティさん一人で十分なんじゃないかと思うのですが……  そんなわけにもいかないので私は魔法の詠唱に入ります。 「――我は命ずる、炎よ燃え盛れ! 我に歯向かう者を燃やし尽くせ、其処は我が領域なり!」  私は詠唱を完了させるとベティさんに下がるよう言います 「ベティさん! その魔法陣から出てください、範囲魔法行きます!」 「了解したわよ!」  ベティさんはゾンビを牽制しつつ外に出ます、何匹かベティさんを追いかけて魔法陣から出てしまいますがまだ三十匹近くのゾンビが範囲内にいますので容赦なくゾンビを纏めて火葬します。 「――バーニング・フィールド!」  魔法陣が赤く光ると魔法陣から火柱が上がりゾンビどもを焼き尽くします。  これで一気に数を減らすことが出来ました、マナカさん的に言えば「流石はワタクシですわー」と言ったところでしょう。 「わーお、凄いことになってるわね」 「火の上位範囲魔法です、私の使える最大の火魔法です」 「わ、わたしも頑張ってゾンビを倒しますね」  アルティアさんも不思議とやる気です、そういえばアルティアさんが直接戦ってるところを見た事がありません。 「アルティアちゃんは無理しなくていいのよ? 適材適所ってヤツなんだから」 「ゾ、ゾンビくらいなら何とかなります! 一応冒険者ですから」 「無理はしないでくださいね、マナカさんじゃなですけど私もそこそこ強いですから頼ってください」  アルティアさんもやる気になってるとろで残りのゾンビをさっさと片付けることにします。  私たち三人は村の奥に行ってしまったゾンビ達の退治に向かいます。 ―― ――――  少し時間がかかってしまいましたが村人と協力して殆どのゾンビを退治することが出来ました。 「いやー、助かりました。貴方たちのような強い冒険者の方が偶然村にいてくれて本当に良かった」  村の若者衆の纏め役の方でしょうか? その人が私たちにお礼を言います。 「いえ、当然の事をしたまでです」 「いやいや、僕たちだけではこうはうまくいきませんでしたよ、何かお礼をさせてください」 「あらーん、その気持ちだけでお姉さんは嬉しいから十分よ、私達は護衛任務で来てるから護衛対象を守ったついでに村も守ったって事にしておいてねん」 「う……そ、そうですか。ですがお礼くらいは言わせてください。本当に助かりましたありがとうございます」  この騒動の原因が私達にあるかもしれない状況なので村人からお礼なんて貰えないと思っていたらベティさんが上手く断っていました、最後のウィンクは正直キモイので村人も声を詰まらせて反応していました。  あと、アルティアさんの戦闘方法が強化魔法によるフルブーストしてからの水魔法と杖での格闘戦だったのには驚きました、割と強かったと思います。  私達が村人と会話していたところ宿から魔力反応があり火の魔法が見え煙が窓から出ていました、私たちは顔を見合わせ。 「や、やはり襲撃があったみたいですね」 「マナカちゃんの予想通りだったわね……」 「ベティさん、アルティアさん! 急いでマナカさんの所に向かいましょう!」 「マウナちゃん落ち着いてね、マナカちゃんならきっと大丈夫よ」  ベティさんに諭されますが、少しだけ胸騒ぎがします。   「はい、マナカさんなら大丈夫と私も思いますが少しだけ胸騒ぎがするんです」 「こ、こちらはある程度片付きましたし。わ、私達もマナカさんの所に向かいましょう」 「そうね。じゃあ、二人ともマナカちゃんの所に行くとしましょう」  こうして私たちはマナカさんのいる宿の方に走って向かいました。
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