第二十八話 盗賊退治の依頼を受けよう

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第二十八話 盗賊退治の依頼を受けよう

 昇格試験の話が出てから次の日の事。  昇格試験、冒険者登録からこの短期間での一気に三階級アップ対象の冒険者は異例中の異例だそうですわね、流石はワタクシですわ。  しかし試験の場がダンジョンとは困りましたわ、今までは基本的に外での依頼ばかりでしたから罠とかまーったく考えていませんでしたわね。 「罠の扱いに長けた知り合いっておりません?」 「私の知り合いにはいないわよぉ、盗賊技能持ちはダンジョンメインのパーティーに大人気なのよねぇ」 「わ、わたしの知り合いにもいません。し、知り合い自体少ないですし……」  二人の知り合いにはいないようですわね、マウナさんはワタクシと一緒に来てるので当然いないでしょうし。 「マナカさん、私には聞いてくれないんですか?」 「いや、マウナさんはワタクシと一緒にこっちに来てるじゃないですか。そんな知り合いでもいるのです?」  マウナさんはニコっと笑いましたわ、まさか知らない間にそんな交流があったとでもいうのですか? 「まさか、ワタクシが知らない間にそんな知り合いが出来たんですの?」 「いやだなぁ、マナカさん。そんな知り合いいるわけないじゃないですか」 「じゃあ、なんで聞かないのかなんて言うのですか? 意味が分かりませんわよ!」 「いや、なんとなくですかね?」  何故疑問形ですの? マウナさんの発言時々本当に流石のワタクシでも意味が分かりませんわ。 「さて、マウナさんは無視して罠解除できる人物を考えましょう」 「そうねぇ、ギルドで斡旋してもらうのも手よね」 「ワタクシ基本的に美女か美少女じゃないと嫌ですわよ」 「そうよねぇ、私くらい心も美少女じゃないと嫌よねぇ」 「ベティさんも何気にファッキンクソオカマ野郎ですわね」 「……最近、私の扱いが雑になってるわよねぇ」 「な、仲が良い証拠じゃな無いでしょうか?」  ワタクシはベティさんに親指を立ててウィンクをしておきましたわ。 「し、しかしどうしましょうね。三日で見つかるともお、思えません」 「ま、考えても無駄ですし。罠は気合で頑張るとしましょう、罠が無いかもしれませんしね」  そんなすぐに答えが出るわけでもないので一旦この話は終わりにして今日これからの事を考えますわ。 「それで今日はどうします?」 「昨日ガリアスさんに言われたように試験の事をブレンダさんに聞いてから、一日で終わる仕事でも受けるとしましょう」 「それが一番妥当ですね」  ワタクシ達四人はブレンダさんに会うべく冒険者ギルドにと向かいましたわ。  昨日は会えなかったのでワタクシとても楽しみですわ! 「ぐっもーにん! ごきげんようブレンダさん貴女のマナカさんがやってきましたわよー」  ワタクシが挨拶するといつも冒険者の方々がワタクシのほうを見るのですのよね不思議ですわー、朝の挨拶は重要なんですのよ、それともワタクシの雅な姿を拝見したいのかしら?  まあ、冒険者の方々の視線は気にせずカウンターの方に向かいます、するとブレンダさんがワタクシ達を迎えてくれましたわ。 「マナカさんに皆さん随分久しぶりな気がしますね」 「お、おはようございます。だ、大体一週間ぶりですからね」 「一週間ほど寂しい思いをさせてしまいましたわね」  ブレンダさんが顔を少しそらすと。 「あ……いや、別にそうでもないですけど」 「ェー、本当は寂しくて夜泣きしてたんじゃないんですの?」  ブレンダさん顔を赤くして少しうつむいております、相変わらず可愛らしい方ですわ。 「話が進まないから本題に入るわよー。ブレンダちゃん、ガリアスちゃんから試験の事聞いてない?」 「あ、はい。聞いています三日後のダンジョン探索ですね。」  ブレンダさんが話してくれた内容は昨日のガリアスさんの話の確認的な内容とパーティーメンバーが試験までに増えた場合の事にパーティーの名前の話くらいだったので割合しますわ。 「あー、あー、パーティー名ですわねー。まったく考えておりませんでしたわね」  パーティー名ですか……『コ〇エー(オランダ妻は)テクモ(電気ウナギの)の黒歴史(夢を見るか)』とか絶対にダメですわよね……  夜にでも皆さんで考えるとしましょう。 「パーティー名は夜にでも皆さんで考えるとしましょう」  ワタクシの提案に皆さん賛同してくれましたわ。 「ブレンダさん今日は何か良い依頼はありませんか?」 「そうですねぇ……あ、これなんてどうですか?」  マウナさんが尋ねるとブレンダさんが一枚の紙を取り出しました 「最近この付近、街の南の方から出た辺りで商人の馬車や輸送馬車ばかりが襲われる事件が発生してるんですよ、この襲ってくる盗賊が人間ではなくオークの集団らしく商人ギルドから討伐依頼が出ています」  ブレンダさんが依頼の内容を話してくれるとマウナさんが渋い顔をしておりますわね、亜人の魔物が起こす事件という事で渋い顔でもしてるのでしょうね。 「マ、マウナさんどうかしました?」 「マウナさん調子が悪いのでしたら、今日は依頼をやめますか?」 「あ、いえ大丈夫です」  ブレンダさんも心配そうな顔をしておりましたが本人は大丈夫という事なので依頼内容の続きを話してもらうことにしましたわ。  ブレンダさんの話を簡単にまとめると街の南から出た森付近に食べ物を扱った馬車ばかりがオークの盗賊団に襲われ事件が多発しており退治してほしいとのこと、ただしオーク集団は強く五等級以上の実力は必要とのこと報酬はちょっと高めでなんと五万リシェですわー。 「お受けいたしますわー、ギルドで馬車をお借りしてもよろしくて?」 「私たちがおとりになって盗賊団を引き寄せるのねぇ」 「そういう事でしたら馬車をお貸しできますよ、厩の方に連絡をしておくので昼くらいには準備出来ると思います」 「ありがとうございますわ、では出発は昼からにいたしましょう。昼までに干し肉や臭いのする食べ物を用意いたしましょう」  こうしてワタクシ達は昼への準備をすることにしましたわ、少し早いですがワタクシ達も食事を済ませることにしましたわ。  食事のために熊の干物亭にやってきましたわ 「あら?マナカさん達昼には少し早いわよ」  そう言ってシェリーさんが迎えてくれます。シェリーさんの後ろからアニタちゃんも顔を出しておりますわ。 「お仕事の前にお食事ですわ」  ワタクシ達はシェリーさんに飲み物と食事を注文します、そこでアルティアさんがワタクシに。 「マナカさん。こ、ここで干し肉とか少しニオイがつ強い食べ物を用意してもらうことはできないでしょうか?」 「それ、いいですわね。ここで購入すればお店にも貢献できますわね」  アルティアさんの提案を聞き、食事を運んできたアニタちゃんにシェリーさんを呼んでもらいます。 「おねーちゃーん、マナカさんが呼んでるよー」  トテトテと可愛らしく奥に歩いていきますわ。  アニタちゃんと入れ替わりに残りの食事を持って来たシェリーさんが対応してくれます。  事情を説明しますわ、予算は五〇〇〇リシェ程度で。 「それなら安いし日持ちのする良い果物があるよ、匂いも濃いからいいと思うんだ」 「どんな果物ですの?」 「ウォヴォヌートの実だよ、甘くてドライフルーツにすると凄く長持ちするんだよ、加工しなくても一週間は持つし加工前なら匂いも濃く結構遠くからでも甘い匂いがただよってくるんだよね。ただ見た目が凄く悪くてね……美味しいけど見た目でダメな人も多いから安いんだよ」 「あ、アレですか……安くて確かにいいですけど見た目がアレなもので孤児院でも嫌いな子が多いです、味はさっぱりとした甘みで美味しいんですよ」  アルティアさんも見た目がヤヴァイとおっしゃてますわね。 「そうねぇ、実に今回には適してるわよねぇ、私を含めた女の子には特にキツイ見た目よね……」  ちゃっかり自分を女子に入れてるオカマでもキツイ見た目とか、超気になるじゃありませんか!    ということで食事を終えてシェリーさんに紹介されて果物商人の所に来ましたわ、さっそくウォヴォヌートの実を見せてもらうと……なんですのこれ? 「なんですのこれ? 果物ですの?」  アルティアさんとベティさんは目をそらしておりますわ、マウナさんは興味津々。  凄く分かりやすく言うと人間の内臓のような色した『ホビロン』というベトナム料理に見えますわね……ホビロンというのは羽化寸前のアヒルの卵をゆでた上級者向けの見た目をした食べ物ですわ、興味のある方はホビロンで画像検索してくださいな。  想像以上に嫌がらせ感バリバリの果物でしたわ…… 「確かにこれは見た目がキツイですわね……」  果物商人も苦笑いをしておりました、しかし見た目に反して匂いは甘く良い香りですわね、ウォヴォヌートのパイ等は安くて人気のおやつだそうですわ。 「とりあえずコレを五〇〇〇リシェ分くださいな」 「まいど、オマケで少し量を余分に入れておいたよ」 「ありがとうございますわ」  こうして麻袋二袋で四〇リットル分買う事が出来ましたわ。  後は余分にシェリーさんのお店で干し肉を一〇〇〇リシェ分購入しましたわ。  食材を持ってギルドの裏にある厩に向かいますわ。  厩の担当職員に依頼の旨を伝え依頼書を見せると小型の幌馬車を用意してくださいました。  ワタクシ達は荷物を運びこむと街を出発しましたわ。
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