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第三十二話 昇格試験始めました
昇格試験当日
「結局は盗賊技能持ちの確保はできなかったわねぇ」
「仕方ないですよ、たったの三日じゃ」
「まあ、何とかするしかありませんわね」
さあて、今日は昇格試験の日ですわ。ワタクシ達はさっそくギルド内に入っていきますわ。
するとハゲオヤジことガリアスさんが出迎えてくれましたわ。
「お? 来たな」
「あら、ガリアスちゃんがお出迎えなのしてくれるなんてね」
「まあな、何せ三等級アップとか聞いたことが無いしな、そして新しく見つかったフロアの調査だ流石にマスターが遊んでるわけにもいかんだろ」
ガリアスさんは楽しそうな雰囲気でワタクシ達を見ておりますわね。
「ふふ、ハゲていてもマスターという事ですわね」
「ハゲは関係ないだろハゲは。それより準備はいいか?」
「問題ありませんわ」
ワタクシがそう答えますと皆さんが頷いておりますわね、皆さんやる気満々ですわね。
「じゃあ、こいつが試験用の依頼書だ、幾ら低層でも未知のエリアだ決して無茶をするんじゃないぞ生きて帰ることが最優先だ」
「当然よぉ、私まだ死ぬ気なんてないわよ」
「ポ、ポーションもいつもより余分に、よ、用意してありますよ」
いつの間にかガリアスさんの横にブレンダさんも来ておりますわね、しかも不安そうな顔でこちらを見ております、仕方ありませんわね。
ワタクシはブレンダさんに向かって微笑みかけてから頷いて見せましたわ。
「皆さん無事に戻ってきてくださいね」
「ええ、当然ですわ」
ワタクシが頷いたのを確認したブレンダさんがワタクシ達に声をかけてくださいました。
それではワタクシ達はダンジョンに向かうと致しましょう。
「では、皆さん目的地に向かうと致しましょう」
こうしてワタクシ達は街の東側にあるダンジョンに向かいました。
――
――――
ダンジョン入り口に到着し入り口にいる兵士に依頼書を見せますとすんなりと通していただけましたわ、まあ冒険者証があれば入れるのですけどね。
「ダンジョンは初めて来ますわね、最初の依頼の時はアレ下水ですし……」
「そうですね下水はいきましたね」
ワタクシとマウナさんは実は今回がダンジョンデビューですのよね。
「私は久しぶりねぇ、ある意味因縁の場所ね」
「あ、あの事件の舞台でもあるんでしたね」
「三階層での事件ですけどね」
そうでしたわねベティさんには因縁の場所ですわね。
「さあ、参りましょう。調査をさっさと終わらせて帰りましょう」
「は、はい」
さあ! ダンジョンデビューですわよー!!
ワタクシは気合を入れてダンジョンに入っていきますわ。
「確かここは人工ダンジョンでしたね」
「ええ、人工のダンジョンはダンジョンマスターと呼ばれる魔法使いが造ったとされる物が多いわね、何故こんな物を造ったかは謎とされてるわよ、一説によれば七賢人以前の魔法使いの暇つぶしとも言われてるわね」
「き、聞いたことがあります。暇つぶしで造り攻略しにきた人間を見世物にしていたとか、そ、そんな話ですよね」
七賢人って魔法の祖ですわよね? それ以前の魔法使いって何なんですの?
「まあまあ、悪趣味な話ですわね。では、演者としてどこからか観ている観客をたのしませると致しましょう」
「そうですね」
そんなことを話しながら二階層まで来ましたわ。一階層のシーンは省略ですわよこれといって何もありませんでしたものね。
そしてついに目的地の第二階層の新エリア入り口ですわ。
「なるほど、これはそうそう気付かないわね……床に起動陣なんて」
ベティさんが床を見て呟いておりますわ。
床の石畳が剥がれて小さな魔法陣が見えておりますわね、これに触れると壁が崩れ新しいフロアが出現するという仕組みのようですわね、ただ一度発動してしまうと壁は崩れたままになるようですわね。
崩れた壁の向こうには部屋が見えますわね、しかもご丁寧に扉がありますわね。その扉の先はどうなっていることやら。
「向こうに見える扉をくぐれば本番のようねぇ、お姉さん罠はそこまで得意じゃないけど色々調べてみるわね、アルティアちゃんサポートお願いね」
「ふふ、ワタクシ最近までJKでしたのでこのような事では全く! 役に立ちませんわよ」
ベティさんが部屋に入っていって色々調べておりますがワタクシはやることが無いので役に立たないことをアピールしてふんぞり返っておきましょう。
「マナカさん……なんでそんなに役に立たないことで自信満々なんですか?」
ワタクシの逆でマウナさんは役に立たないのが申し訳ないかのように壁の方を向いて体育座りしておりますわね。
「逆にマウナさんは何故に壁を向いて体育座りをしてるんですの?」
ワタクシ達がそんなやり取りをしているとベティさんがワタクシ達に
「あなた達何してるのよ、罠は無かったわよ。でもねぇおかしなことに立ち入り禁止区域だったはずのここ、私達より少し前に誰か来たみたいなのよね」
「えぇー、面倒くさいことになりそうな予感がしますわー」
「そうねぇ、面倒ごとは勘弁してほしいわねぇ」
始まる前から面倒ごとの臭いがプンプンしますが仕方ないので先に進むことにしますわ。
「さあ、行こうぜ! ピリオドの向こうに。ですわー」
「なんですかそれ?」
「何となく言っただけですのよ」
「そうですか」
扉を出るとまた通路ではなく部屋になっておりますが扉には大きな模様が描かれておりますわね、魔法陣ですわね。
「これ魔法陣ですわよね?」
ワタクシの言葉にマウナさんが答えてくれます。
「魔除けの魔法陣ですねしかも割と強力なヤツです、よほど強力な魔物でない限りはこの扉を破ることはできませんよ」
「そ、そうなりますと、こ、こちら側のフロアの魔物は扉の向こうには行けないという事ですよね」
「そういう事ですね」
「それじゃあ、無理にあの扉を越えなければ安全ということね」
調査で分かったことをアルティアさんがメモしていき、ベティさんがマッピングをしていきます、実に優秀なお二方ですわね、ワタクシとマウナさん? 役立たずしてますわよ?
軽くこの部屋を調べましたが大したものはなくそのまま先に進むことといたします。
思ったより明るいのでワタクシが奮発して買った虫よけ効果のある魔石ランタンが無駄になっておりますわね。
「ここには何もないようですわね、先に進みましょう」
「そうねですね」
ワタクシ達は部屋を後にすると通路になっております、ただフロア全体の壁の色が変わっておりますわねここのエリア以外のフロアはくすんだ灰色の壁ですのにここは薄い青色をした壁ですわね。
そして少し歩いていると前方からうっすら黒いオーラを纏ったスケルトンが二体出てきましたわ、見た目や雰囲気からしてどう考えても二階層のモンスターじゃないですわよねコイツ?
「スケルトンですわねぇ、カットラス持ってオーラ出てますが」
「あらー、二階層にヒューリースケルトンが出てくるのねぇ」
「新種ではないのですね?」
「そうねぇ、新種じゃないわよぉ。まあ、こいつがいるのは八階層ね」
初心者パーティーが来て良い場所ではないことが分かりましたわね
「に、二体でしたら六等級のパーティーでも、な、なんとか勝てる相手ではあります」
「フラーゲトイフェの方が強敵という訳ですわね」
「アレと比べちゃヒューリースケルトンが可哀そうよ」
「ザコならワタクシ一人でも十分ですわよ? ベティさんとアルティアさんは今回は別の事で活躍していただきますので体力の温存を、今の所戦闘でしか役に立たないワタクシにお任せあれ」
ワタクシはそう言って皆の前に出てスケルトンの前に立ちふさがりますわ。
カタカタと顎の骨を鳴らしていたヒューリースケルトンがワタクシを敵と認識しカットラスを構えますわ。
ザコに構ってる暇は無いので秒殺してしまいましょう。
ワタクシはまず正面にいるヒューリースケルトンの顔面にドロップキックをお見舞いし、そのまま体重を乗せヒューリースケルトンの顔面に乗るような形でそのまま後ろに倒し顔の骨を踏み砕きました。
「まずは一匹ですわね」
右隣にいたヒューリースケルトンが右手に持ったカットラスを振り上げ袈裟懸けに斬りかかってきた所を左に避けてカウンター気味に右のフックを叩きつけ下顎の部分を破壊しますと二匹とも動かなくなりました。
「確かにフラーゲトイフェの方が強いですわね」
ワタクシは豪快に素早く二匹を倒します。
「えー、いくらなんでも早すぎよぉ」
「この程度に負けるほどやわな鍛え方はしておりませんの」
「ヒューリースケルトンは低位の闇魔法も使うんですがそんな間もなく終わってしまいましたね、マナカさんどんどん強くなっていきますよね」
「そのうちもっと凄いバケモノと戦う事も出てくると思うとワタクシはまだまだ強くあらねばなりませんのよそのための訓練はかかしておりませんわよ。実は秘密ですが色々と土魔法も隠れて勉強してますのよ」
「こ、ここで言ったら秘密にならない気がしますよ」
アルティアさんの突っ込みもごもっともですわね!
「ふふ、問題ありませんわ。さあ先に進みましょう」
「た、確かに話しても問題は、な、ないですよね……」
こうして順調にザコを蹴散らしつつ調査を進めておりますと、どこかからか微かに争う音が聞こえてきますわね。
「何か聞こえませんこと? 戦闘か……争う声と音ですわね」
ワタクシが立ち止まって耳を澄ましておりますと。
「本当ですねそこまで遠くは無いようですね」
マウナさんもフードを取り耳を澄ませましたわ、ワタクシ達の様子にベティさんが。
「私たちの前に入っていった人たちじゃないかしら?」
普通に考えてそうなりますわね、厄介ごとが音を立てているという事ですわね。
「はぁ、面倒臭いですが行ってみましょう」
「マナカちゃんってなんだかんだで関わっていくスタンスよねぇ」
「いいから行きますわよ」
こうしてワタクシ達は音がする方へと向かって移動を開始しました。
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