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ぱらり、
本を捲ると「生きた人形」について書かれている古書でした。作り方から必要な材料、あらゆることが丁寧に書かれていました。
衝動的にそれを買うと、慌てて町の陶磁器専門店に向かいました。
袋一杯にボーンチャイナの材料である骨を買い込みました。
ボーンチャイナとは、牛などの骨灰を粘土に混ぜて焼き上げた陶磁器のことです。他の陶磁器に比べ色は乳白色、光沢や手触りは一級品です。
これで作った人形はどれほど綺麗だろうか。
人形技師は想像を膨らませます。
「あの、落としましたよ」
浮かれていて大切な本を落としてしまった。
拾ってくれた少年を見た人形技師は大きく口元を歪め、本を受け取りました。彼は想像してしまったのです。悪魔の発想を。
🐋 🐋 🐋 🐋
工房に籠ること一週間、遂に人形が完成しました。
団長がその人形を引き取りに来ました。
自慢気に人形を見せる人形技師ですが、団長があまりの恐怖に顔を引き攣っているではありませんか。しかし人形技師は気づきません。
その人形は少し丸みが帯びた顔と藍色のガラス玉が埋められています。妙にリアルなレッドワイン色の髪の毛は所々はねている。服装は木こりをイメージしたグリーン色のオーバーオールを着ている。
人形技師曰く、特別な球体関節人形。
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