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魔法の国のお姫様 Sentence.1
そこは魔法の力によって栄えた国でした。
国を守る守護獣のライオン像が佇む広場で大勢の人がコサックダンスを踊り、記念日を祝っていました。とても楽しそうで、皆浮かれていました。
今日は何と、国を統べる女王様の誕生日だったのです。
国中がお祝いムードの中、女王様が住むお城は慌ただしかったのです。
それを流し目で見つめるのは黒い髪を持った女王様でした。
退屈そうな表情を浮かべる女王様は可哀そうなことに、片目は眼帯で覆われていました。事故で片目を失ってしまったのです。
「あーあ。女王様何て嫌われそうな称号よりもお姫様が良かったわ。この祝賀会もくっそつまらないわ」
ただ魔法が使えるだけで国の王になれる。
彼女はこのいい加減な体制や年中お祭り騒ぎの国民に心底飽き飽きしていたのです。
いくら魔法の力で発展したとは言え、魔法を使えるのはごく一部の人間だけ。
魔法が使えるだけで国の重鎮になれるのですから、素晴らしい力と言えます。将来も安定し、完全有給二日制です。
と言うのは建前です。
実際、魔法を使えない人が大半なのですから魔法が使える人間は、使えない人間のために魔法を使い続けなければなりません。それが魔法を使える人間の役目なのです。要は生贄です。
しかし、それを国民は知りません。
阿呆な面を下げて祝う国民を見れば見るほど、気色悪く見えます。
「いっそのこと、台風や竜巻が来て全て滅ぼしてしまえばいいのに」
物騒なことを考える女王様。
しかし、それは必ず現実になります。
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