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「ひっ」騎士は小さな声を上げました。
何と見る見るうちにグレーテルの姿が変わっていくのではありませんか。
背中から皮膚を食い破り現れたのは人を握り潰せるほどの大きい腕。そして腰からは植物の蔦にも似た触手が二本生え、先端がぱっくりと割れました。そこに見えるのは鮫の鋭い歯でした。
化け物の姿を見た騎士は剣を放り出して、地べたを這いずり回るように逃げました。
逃げ切れるはずがない。
その逃走も数秒後——
がぶり、
二つの触手に頭から食われてしまいました。
後はご想像にお任せしますが、騎士は綺麗に平らげられてしまいました。二人に。
そう、この森にはとてもお腹が空いた二体の化け物が住んでいたのです。
迷い込んだ人を喰らいつく、ヘンゼルとグレーテルが。
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