ランドセルに世界を詰め込んで

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ランドセルに世界を詰め込んで

「男の子なのに赤いランドセルって変なの!」  クラスの明子(あきこ)ちゃんが笑いながら指を指した。それにつられるように、(しゅん)康太(こうた)も、面白いテレビ番組でも見るみたいに僕を笑う。その笑い声は、夕方の烏みたいな声だった。  どうして、男の子だと赤いランドセルはダメなのだろう。学校に行くたびにそう思うけれど、周囲が気になって思ったことが言えない僕は、いつも黙ってばかりだ。やっぱり、ランドセルの色は変えたほうがいいかな。  だって、クラスの男の子は、黒や茶色といった『男の子の色』のランドセルを背負っている。  これがきっと普通で、当たり前なのかもしれない。だから、みんな僕を面白がるんだ。  言い返したくても、僕には勇気もないし、素直な気持ちを伝えることもできない。ただこの赤いランドセルを背負って、俯くことしか僕にはできなかった。  ……どうして、『にーちゃん』はこの色を僕に与えたの?
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