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○月△日
バタバタバタッ。
…ああ、気づかなかった。
もう9時になってたか。
仕方がない。続きはまた明日にしよう。
パタン。
僕は、そろそろ佳境を迎えようとしていたその、興味深い物語を閉じた。
バタバタッ。
ドーン、ドーンッ!
何やら今日、隣の女は荒れている。
“チクショーー”
“アノヤローー”
こっちの壁まで振動が伝わってくるところをみると、女は何度も繰り返し、この壁に何かをぶつけている模様。
実は時たま、女にはこういう日がある。
吠えている罵詈雑言から察するに、そんな日の女は上司にこっぴどく叱られたようだが…
その余波を受ける、こっちの身にもなって欲しい。
五月蝿いったらありゃしない。
しかし。
今朝、ごみステーションでばったり会った時には、いやに清純派っぽい爽やかな挨拶を返すくせに。
やはり、人は見かけによらないものだ。
僕も、せいぜい気をつけるとしよう。
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