紅葉と君と私と

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ある日、2人はお互いの家の話をしていた。 由希の家はかなり貧しく、名門の家で書生をする代わりに、学費を免除してもらっているということ。 実は成績が良く、将来は役所で仕事が出来るのではと期待されているが、その分勉強もしなくてはならないということ。その家のご子息は、とても良い人で、優秀で、素晴らしい方だと、由希は嬉しそうに言っていた。色々な話を聞いた。 美都香の家の話もした。下級貴族であるが故、名門貴族と結婚すれば今より幾分かは良い生活が出来る。自由のない婚約をしたことも言ってしまった。 それを聞いた由希は「ねえ、美都香。もしも俺が、そんな結婚よりも俺と逃げてしまおうと言ったなら、君は一緒に逃げてくれるかな。」と、独り言のように美都香に言った。 美都香は頬を真っ赤に染めて、「…うん、逃げてしまおう」と笑って言った。
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