紅葉と君と私と

そんなある日、いつも通りに2人が話しているところへ、偶然にも龍之介が通りかかった。
「あれ、君たちは知り合いだったのかい？」と龍之介は言う。
「え？」美都香はどういうことか龍之介に聞いた。
「あれ？言っていなかったのかい、由希。美都香、由希は僕の家の書生をしているんだよ。彼は優秀でねえ、将来は役所に勤めるんじゃないかと期待されているんだよ。」そう言って龍之介は由希のことを誇らしげに褒める。
「由希、彼女は僕の婚約者なんだよ。可愛いだろう？それに、彼女は気立ても良くてね、僕は一目で惚れたんだよ。」
龍之介は心から幸せそうに、愛おしいと言いたげな目で美都香を見つめた。