きれいな泉

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その瞬間、内藤は矢野の左頬に拳をめり込ませてた。泉の頭が被っていない方に。 ガシャァンと机と椅子が何個が倒れ、矢野も倒れる。 内藤は泉をもう一度抱き寄せ、入り口近くに動く。 「おい、大丈夫か」 ワイシャツを手繰り寄せ、白い肌を隠していく。一つ一つ骨ばった指でボタンを留める。 最後まで留めるとパシッと残しておいた手がはねのけられた。 「なぁ、内藤だろ。お前。」 あぁ、そういえばこの人は男言葉を使うんだった。 「引いたか、今の」 泉の左頬が持ち上がり、あの指がTシャツを掴む。 「なんで俺がセックスしてると思う?」 目がかち合う。深海のような深い、深い綺麗な瞳。 「お前には分からないだろうね」 桜色の唇が動く。 遠くで痛ってーと音がした。 その、少し開いた、その唇に近づき、そっと、禁忌を犯すように重ねた。
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