失われた時間を求めて第1章

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失われた時間を求めて第1章

ぼくはバルザックとともに生きることに決めた。結城学くんもそのことに賛成してくれた。バルザックとぼくは小説を書くことについて作戦会議を開くことにした。バルザックはコーヒーを1日で50杯のみながら、狂ったように小説を書いていた。ぼくにもそのバイタリティをわけてほしいものだ。結城学くんは純文学専門の小説家であった。京大の理学部で数学を学んでいた。第二外国語はフランス語であったので、プルーストを原書ですらすらと読むことができた。ぼくは記憶を深掘りしていって小説を書くことにした。文体はバルザックに近い。産みの苦しみを共有することができた。 ぼくにはカフカさんという恋人がいた。カフカさんはユダヤ人でドイツ語を読み書きでき、チェコに住んでいたため、遠距離恋愛となっていた。カフカさんは「カラスさん」と仲間うちでよばれていた。カフカさんはドイツ語圏の国々で人気がありあった。2作目の『ドンタコス』という作品はオーストリアでベストセラーになっていた。 バルザックはフランスで国民的作家として名をはせていた。カフカさんの文体はクラシック音楽のように澄み切っていた。しかし、バルザックの文体はまるでロックやジャズの音楽であった。バルザックは完成したゲラに大量の書き込みをしてしまう。そのために文章に脂がのってごてごてしたまわりくどい描写になってしまうのだ。 結城学くんは数学と英語の家庭教師で生計をたてていた。「純文学だけでは食べてはいけない」とぼくにこぼしていた。 ぼくは第二の故郷である京都に行って小説のインスピレーションを得ようとした。京都の相国寺という禅寺に行ってインスピレーションを得ることができた。座禅を組んで宇宙のことを考えたのだ。そうしたら、小説ではなく作曲することができた。ロックとクラシックの融合であった。 沼津に戻ってきた時、その音楽をバルザックと共にレコーディングし、CD化したらそこそこうれることができた。結城学くんにもそのCDをあげたら、とてもよろこんでいたのでやってよかったと思った。 バルザックにはゴリオ爺さんとラスティニャック青年という友達がいた。ゴリオ爺さんさんは下宿屋の大家さんでラスティニャック青年に部屋を貸していた。ラスティニャック青年は社交界デビューをもくろむニートだった。ツイッターでクラウドファンディングをして資産をほそぼそとつくりあげていった。またブロガーでもあり、市井の声を反映した記事を書き、その反響も大きかった。 ゴリオ爺さんは薬の研究でも有名であった。一度、うつ病に効く薬を発明し、ノーベル生理学賞を受賞してしまうほどイノベーションを起こしていた。
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