2.預言者

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 彼はすべてがハルと真逆だ。男らしくハンサムで、身長や骨格からして全然違う。匂い立つような色気があり、精神的に成熟した(ひと)しか纏えない余裕と包容力まで兼ね備えている。歌の実力だって雲泥の差だ。  卑屈な感情が(もや)のように広がって胸が苦しい。目を閉じているのが怖くなったハルは、ハッと目蓋を開いた。 「ねぇ、コウさん、もう寝ちゃった?」  声を掛けてみるが返事はない。背中に触れると、寝返りを打った彼女が温もりを求めるようにすり寄ってきた。  リュウが触れていたように彼女の頬に触れてみる。彼の手はきっともっと大きいのだろう──そんなことを考えていると、頬がピクリと動き、暗闇の中で大きな双眸が開いた。 「……どうしたの? 眠れない?」  うん、と正直に答えそうになった唇を慌てて笑みに変える。 「ううん、大丈夫。もう寝るよ」  そっとキスをして抱き寄せると、いつもの安らぎの中に混じって微かな焦燥感が芽生えた。
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