死神さんと死にたがり

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「なんですかコレ、めっちゃうまい」 「なんですかこれって・・・ただの饅頭ですよ」 饅頭・・・。と死神さんは眉を顰める。 「緑茶と仲がいいようですね」 「まぁ、昔からの仲ですから」 「ところでなにかしたいことは決まりましたか?」 死神さんの言葉に私は緑茶で饅頭を流し込む。 「・・・決まったというか・・・、まぁしたいことっていうのはあるんですけどね」 ほぅ? と死神さんが目を細める。 「抱いて欲しい人がいるんです」 ほぅほぅ? と死神さんが耳を立ててから、まっ! と口を押えた。 「恋愛相談ですか? いいですね、恋愛は緑茶によく合うんですよ」 心做しか楽しそうだ。 私は誰も聞いてないとは思いつつ、声を潜めた。 「・・・実は、その相手なんですけど・・・」 フムフム、と短い間隔にも頷く死神さん。 「ゲイなんです」 あらま。 死神さんはそう言ってまた口を押えた。
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