7人が本棚に入れています
本棚に追加
「そう言えば、藍沢さんって今日は日直じゃないわよね?」
「はい。日直本人はすっかり忘れて本に夢中だったので変わりに私が」
「ええ、そうなの? 今日の日直にはきちんと言っておくわ。ありがとう」
「いいえ。先生のお役に立ててうれしいです」
藍沢はにっこり笑うと「それじゃあ、失礼します」と頭を下げて職員室を出て行った。
小さくなる彼女の姿を見送りつつ、茜は思う。
本当に藍沢さんはよくできた子だ。
「非の打ち所がない、ってああいう子のことよね」
茜はそう言いながら、生活ノートにコメントを書く作業を開始する。
生活ノートには案の定、『疲れた』とか『ゲーム三昧だった』とか『彼氏にフラれてもう嫌だ』とか、短い日記と呼ぶにはほど遠い呟きが書かれてあるだけ。
すべてのノートに赤ペンでコメントを入れていき、ようやく最後の一冊。
そのノートを開き、茜は面食らった。
他の生徒に比べて、随分と長文だったからだ。
内容を読んで、茜は思わず声を上げそうになった。
深呼吸をして、冷静になってもう一度、そこに書かれた内容を読んでみる。
最初のコメントを投稿しよう!