観察日記

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「そう言えば、藍沢さんって今日は日直じゃないわよね?」 「はい。日直本人はすっかり忘れて本に夢中だったので変わりに私が」 「ええ、そうなの? 今日の日直にはきちんと言っておくわ。ありがとう」 「いいえ。先生のお役に立ててうれしいです」  藍沢はにっこり笑うと「それじゃあ、失礼します」と頭を下げて職員室を出て行った。  小さくなる彼女の姿を見送りつつ、茜は思う。  本当に藍沢さんはよくできた子だ。 「非の打ち所がない、ってああいう子のことよね」  茜はそう言いながら、生活ノートにコメントを書く作業を開始する。  生活ノートには案の定、『疲れた』とか『ゲーム三昧だった』とか『彼氏にフラれてもう嫌だ』とか、短い日記と呼ぶにはほど遠い呟きが書かれてあるだけ。  すべてのノートに赤ペンでコメントを入れていき、ようやく最後の一冊。  そのノートを開き、茜は面食らった。  他の生徒に比べて、随分と長文だったからだ。  内容を読んで、茜は思わず声を上げそうになった。  深呼吸をして、冷静になってもう一度、そこに書かれた内容を読んでみる。
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