観察日記

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 チャイムが鳴り、茜は一年七組へと向かう。  七組までの道のりが、やけに長い気がした。  ようやく一年七組にたどり着き、ドアの前で大きく三回深呼吸。  私は大丈夫、私は大丈夫、私は大丈夫と呪文のように繰り返し、勢いをつけてドアを開ける。  途端に、教室中の生徒の視線が茜に注がれた。  ああ、みんなちゃんと席に着いてるし、普通の雰囲気の子たちばかりだ。  茜はそう考えて安心し、一歩踏み出す。  次の瞬間。  緊張の糸がぷつりと切れたせいで、何もないところで派手に転んだ。  静かな教室にさらなる重い沈黙。
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