観察日記

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しかも、新年度ではなく、二学期の途中から担任教師が突然、変わるということは……。  茜は校長に「あの、元の担任の先生は」と口にした。  なぜ、そのようにあやふやな言い方をしたのかというと、一年七組の担任教師がよく思い出せなかったからだ。  休みボケが抜けてないかな、と思っていたら、校長は相変わらずの暗い口調で答えた。 「入院をしているんだ」 「それは、産休ということですか? それとも何か病気で?」 「病気だ。詳細は話せないが……」 「そう、ですか」  茜がそう言って頷いていると、校長は「そういうことで、よろしく頼むよ」と話を終えられしまったのだ。  結局、校長は、一度もこちらを向くことはなかった。
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