観察日記

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観察日記

 職員室で自分の席に着いた途端、小暮茜(こぐれあかね)は未だかつてない緊張感に襲われていた。  小学校六年生の頃の作文コンクールで全校生徒の前で作文を読むべく、順番を待っていた時の非でもない。  受験の合否を確認する時の緊張感よりもずっとずっと上だ。  茜にとって、未体験ゾーンの緊張感で、思わず胃がキリキと痛む。  ただ、そこまで緊張をしてもしかたがないと冷静に分析している自分もいた。  なぜなら、今日から茜は一年七組の担任教師になるのだ。  しかも、この学校に来て二年目で、二十五歳という若さで。  中学一年生という多感な時期の年頃の生徒たち、というだけでも自分で大丈夫なのかと不安でいっぱいなのに……。
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