13人が本棚に入れています
本棚に追加
エピローグ
「お疲れさん」
「…大丈夫。疲れては、ない」
カウンターの上には。
手付かずのパフェが、残っている。
「いつも、ありがとう…」
「気にすんな。俺には、何も見えないし」
そう。マスターには、見えない。
彼の、姿は…。
「メロンソーダを頼むのが、合図だからな。…見えない客が居る」
「…うん」
「…辛い、か?」
辛くないって言ったら、嘘になる。でも──。
「あたしは…」
パフェを一口、頬張る。
「美味しいパフェが食べれて、幸せ、かな?」
半分、強がり。半分は、本音。
…誰かの命を、分けてもらったんだもの。これが、わたしに出来る、唯一の恩返し…。
終わり
最初のコメントを投稿しよう!