第1話、ENCOURAGE解散

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 「ぼく、コンティーニュと結婚するから」  「ピース、メイクと付き合っていたこと、黙っていてごめんなさい」  と、頭を下げていたのでした。  「………」  ピースがその後、何も口に出さなくなったことで重い沈黙が続きます。これはいけないと、ピースは首を振り、仲間たち1人1人にお祝いの言葉を掛け、仲間たちが寝ている間、キリンの家を静かに出て行きました。  キリンの家を出るとき、キリンに見つかったピースでしたが、仲間たちを起こさないよう、キリンに頼み自宅に戻りました。  自宅に戻った彼は、部屋で新曲を作ることにしますが、曲の良いアイデアが思い浮かびません。ピースは布団の中に一旦もぐってから顔を出し、そのまま寝てしまったのでした。  翌日、ピースは両親に断り、朝早くワールドタウンを出ました。いとこのオープは2年前からモッズドタウンのガラーカフェで住み込みで働かせてもらっているため、既にピースの自宅にいませんでした。  ワールドタウンを出た彼は、別の歌手グループに入って活動を考え、何組かメンバー入りを申し込みましたが、どの組も断られてしまいます。  ピースはワールドタウンの外れにあった花のパンの畑の前でぼうっと立ち尽くしていました。  しまいにはENCOURAGE(エンカレッジ)解散とその理由のこと、新曲が思い浮かばないことで悔しさと悲しさと寂しさの感情が混ざり、花のパンの畑の前で座り込んでしまったピースです。  「オレ、終わりなのか? こんなかたちで終わるのか?」  と、地面に拳を叩いたとき、奇妙な音が聞こえてきます。
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