103人が本棚に入れています
本棚に追加
/372ページ
「いやー、それにしてもVIPルームなんて初めて入りました。バーカウンターもあるし、大型テレビ。一つのスイートルームですね」
秀人さんは初めて入るVIPルームに、大はしゃぎしていた。
「お好きなお酒があれば飲んでも構いませんよ」
「いいですか?では、遠慮なく」
秀人さんは童心に返った眼でバーカウンターでお酒を選び始めた。
「すいません。秀人さん、お酒に目がなくって」
「いいの、いいの。女同士で楽しみましょ」
私はソファから立ち上がり、バーカウンターへと向かった。
「今日はありがとう」
私はバーカウンターにいた秀人さんに妹を連れて来てくれたお礼を小声で述べた。
「いいですよ。姉妹でごゆっくりしてください」
秀人さんはニコリと微笑むと、マルガリータを作ってくれた。
「お待たせ」
私はマルガリータを持って、再びソファへ腰を下ろした。
「では、乾杯」
私と潤子はグラス片手に乾杯した。
夢のようだった。
まさか妹とお酒が飲める日が来ようとは……
だけど、潤子は姉と見ていない。
それがもどかしくて、妹と飲むお酒は苦かった。
最初のコメントを投稿しよう!