第11話 きっかけ

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「いやー、それにしてもVIPルームなんて初めて入りました。バーカウンターもあるし、大型テレビ。一つのスイートルームですね」 秀人さんは初めて入るVIPルームに、大はしゃぎしていた。 「お好きなお酒があれば飲んでも構いませんよ」 「いいですか?では、遠慮なく」 秀人さんは童心に返った眼でバーカウンターでお酒を選び始めた。 「すいません。秀人さん、お酒に目がなくって」 「いいの、いいの。女同士で楽しみましょ」 私はソファから立ち上がり、バーカウンターへと向かった。 「今日はありがとう」 私はバーカウンターにいた秀人さんに妹を連れて来てくれたお礼を小声で述べた。 「いいですよ。姉妹でごゆっくりしてください」 秀人さんはニコリと微笑むと、マルガリータを作ってくれた。 「お待たせ」 私はマルガリータを持って、再びソファへ腰を下ろした。 「では、乾杯」 私と潤子はグラス片手に乾杯した。 夢のようだった。 まさか妹とお酒が飲める日が来ようとは…… だけど、潤子は姉と見ていない。 それがもどかしくて、妹と飲むお酒は苦かった。
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