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隆成の決意は固かった。
どうやら本気で叔父夫婦を葬り去りたい様だ。
しかし、それは冴子さんを本気で愛してる証でもあった。
妻となる人をこの様な目に合わせた奴には軽い裁きでは済ませたくない。
隆成はそれ以上は言わなかったが、顔にはハッキリと書いてあった。
その想いは尊重しよう。
しかし、まるで成長してない息子の姿に少し落胆してしまったのも事実だ。
もう1人の息子は改心し、落ち着いたというのに………
隆康は財務省の官僚となったが、女遊びは止められなかった。
しかしお見合い結婚の末、子供が生まれると考えを改めるようになった。
最近になって、自分のした過ちを償いたいと言い出してきたのだ。
隆康は改心しそうなのに、それを願った隆成は今だに憎しみに囚われている。
いや、そう簡単に憎しみは消えやしない。
憎しみの根本が根強く、その元凶が俺だからだ。
そう思えば思う程、自分のした罪を償いたいと思ってしまう。
結局、隆成に抗う事はなく、頼み事を聞いてあげることにした。
「分かった。ただし、これが最後だぞ」
隆成も冴子さんも満面の笑みを浮かべて頭を下げた。
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