第10話 父と子 

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こうして、俺は法務大臣時代のコネを駆使して、隆成の頼みを聞いてあげることにした。 叔父夫婦は冴子さんに酷い仕打ちを行ったが、所詮は過去の事件。 証拠不十分でよくて懲役刑だが、俺はそれを追放刑にするよう裁判長に頼んだ。 更にこの夫婦をEscape The Criminalに参加させた。 本戦後、4連覇を達成したら加瀬夫婦は凱旋パレードを催すと聞いたからだ。 隆成の事だから、叔父夫婦を晒し者にしたいに決まってる。 そこで『ライセンス法』を先延ばしにして、凱旋パレードで叔父夫婦を誅することを許可させた。 ――御祝儀祝いにしては奮発し過ぎたな…… しかし、結婚式に出席できなかった詫びもある。 それにこれが最後だと約束したので、もう頼みには来ないだろう。 文字通り、隆成は俺のコネを頼る事はなかった。 更には俺との間も良好な関係を築きつつあった。 お互い仕事に没頭する毎日で、この4年で会ったのは2回か3回程度だが、親子で酒を酌み交わし、楽しい夜を過ごせた。 しかし、最近になって思うことがある。 俺は充分に償いかできているのか……… まだまだ息子にしてやるべき事があるのではないか……… 頻繁にそう考えるようになった。 そんな矢先、一本の電話がかかってきた。
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