第11話 きっかけ

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隆成が1人の男を挙げた時、私は確認の為もう一度聞いた。 「いいのね?」 「ああ、お願いします」 「分かったわ。他に伝言があれば言って頂戴」 「それなら、隆康に事件当日の事を聞いといて欲しい」 「隆康さんか………分かった」 その名前を聞いた時、咄嗟に言葉を詰まらせてしまった。 隆康さんは悪い人ではないが、苦手なタイプだ。 風俗で働いてた時にこの手のタイプをよく見かけた。 金持ちを良い事に大金をチラつかせて、店にないそれ以上のプレイを要求する。 良くても悪くても人を見下す。 そんなタイプだ。 隆康さんで嫌な思い出を蘇らせてしまったのか、隆成は声を落として再度、私に謝った。 「君には迷惑かけてばかりで申し訳ない」 「いいのよ。夫婦でしょ」 勿論、私は気にしてない。 隆成の為なら苦手なタイプとか言ってられない。 「それじゃあ、頑張ってね」 私はそう言うと電話を切り、早速、夫の真の父親に電話をかけた。 この国の官房長官である飛武隆真に………
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