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電話はすぐにかかった。
「ご無沙汰しております。官房長官」
「官房長官はよしてくれ。君とは一応、義理の親父なんだから、お義父さんでいいよ」
飛武さんはお義父さんと呼ぶように勧めてくれた。
「ありがとうございます。だけど、それは遠慮させていただきます。お義父さんと呼ぶべき人が既におりますので」
私は隆成の育ての父である加瀬圭佑さんのことを差した。
「そうだよな……申し訳ない」
飛武さんは弱々しく笑っていた。
内心は呼ばれたいという気持ちがいっぱいなのだろう。
私も呼びたいが、隆成が飛武さんの事を許さない限り、それは難しいだろう。
「それで、要件はなんだい?」
飛武さんは気持ちを切り替え、電話した理由について尋ねた。
「実は…………」
私は隆成からの伝言をそのまま伝えた。
「つまり無実の人間がいるかもしれないから、裁判をやらせろと。それで私に裁判長の役回りをしろと…….そう言いたいのだな?」
「はい。飛武さんの自宅にはホログラム電話をお持ちのようで、それを使って、こちらに連絡を取って欲しいとの事です」
「何故、あいつはホログラム電話が自宅にある事を知っているんだ?」
「ホログラム電話を開発した会社とは懇意だからと申しておりました」
「思い出した。1台あいつにあげたんだ」
「それで………引き受けて下さいますか?」
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