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「そ、それは本当ですか?」
私は食い入るように再度確認した。
「はい。珍しい名前だったから覚えていたんでしょう」
隆康さんは自信を持って言い切った。
『南雲事件』の容疑者の名前は藤樫眞也。
そして今から隆成が裁判をする被告人の名前でもあった。
もし、隆康さんの証言が本当ならば………
――藤樫さんは無罪………
「だけど、俺の証言では些か弱いでしょうな」
「そうですね。もっと確実な証拠が欲しいところです」
「俺も色々と当たってみますよ」
隆康さんは隆成に協力してくれると約束してくれた。
「ありがとうございます」
「いいんですよ、暇だし。それにあの兄が困ってるんだ。こんな事は滅多にない事だし、これで助けてあげれば、一生俺に頭が下がらない思うと、これは面白くなってきました」
そう言って、隆康さんは笑いながら電話を切った。
隆康さんは好意的に協力してくれる。
腹違いの兄貴のために……
一生頭が下がらないと言っていたが内心は頼ってくれて嬉しいのだろう。
――それにしても兄弟か………
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