第11話 きっかけ

17/27
前へ
/372ページ
次へ
気が付けば涙が頬に蔦っていた。 「冴子さん……涙が」 潤子はすぐに気付いた。 「あら……やだ、ごめんなさい。ちょっと干渉的になっちゃった」 私は笑いながら涙を拭いた。 「あの……冴子さん」 「んっ?」 「どうしてそんなに私に親切にしてくださるのですか?」 その言葉に戦慄が走った。 遂に来た…… 来てしまった。 こうなってしまったのも自業自得だが、もう致し方ない。 ………腹を括った。 「あのね、理沙さん」 私は真剣な眼で潤子を見た。 「はい」 ただならぬ気迫に潤子は息を飲んだ。 「実は私はあなたの……」
/372ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加