第11話 きっかけ

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――コンコン……… 肝心な時に邪魔が入った。 「冴さん、中田です」 ドアの向こうから中田ちゃんの声が聞こえた。 さっきまでの緊張は消え去り、真実を伝えるのは後回しとなった。 ――中田ちゃん。空気読んでよぉ…… とはいえ呼んだのは私だ。 夫が裁判をするので、プロデューサーと編成局長には話しておこうと思ったからだ。 それに溜息をついたものの、少しだけ安堵した。 まだ心の準備ができてない証だった。 夫が見たら笑うでしょうね。 「この話はまたあとでね」 私は潤子にそう言うと、ソファから立ち上がった。 「お待たせ」 VIPルームから出ると、中田ちゃんと牛山編成局長が立っていた。 「すいません。先客がいたようで……」 「いいのよ。こちらこそ仕事中なのにごめんなさい」 「それで話しというのは?」 「実は主人のことで話があるの」
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