第11話 きっかけ

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私は全てを伝えた。 話を聞いた2人は唖然としていた。 「つ、つまり犯罪者の中に冤罪の疑わしき人間がいると?」 「ええ、そうよ。それで情報を集めたら裁判を行うわ。勿論、形式なものではなく、言うなれば討論会ね。有罪になれば夫か黒坂先生のどちらかが始末するでしょうね」 「む、無罪だった場合は?」 「立会人の官房長官の名のもとに中止になるでしょうね」 それを聞いて2人は互いの顔を合わせた。 両者ともに、渋い顔をしていた。 正直、裁判なんてさせたくない。 食い止めなくてはならないというのが、彼らの心境だろう。 もし冤罪だと分かったら、放送事故だけでは済まされない。 確実に打ち切りは間違いないだろう。 いいやそれよりも、もっと恐ろしい事が起きる。 『刑事裁判撤廃法』の是非を問われ、社会に影響を及ぼすのは目に見えていた。 もしかしたら、廃止してしまうかもしれない。 それでも私は誠心誠意、2人に頭を下げた。 夫の願いを叶えさせる為に……… 「無理なことは承知の上よ。だけど協力して欲しいの。お願いします」
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