102人が本棚に入れています
本棚に追加
私は全てを伝えた。
話を聞いた2人は唖然としていた。
「つ、つまり犯罪者の中に冤罪の疑わしき人間がいると?」
「ええ、そうよ。それで情報を集めたら裁判を行うわ。勿論、形式なものではなく、言うなれば討論会ね。有罪になれば夫か黒坂先生のどちらかが始末するでしょうね」
「む、無罪だった場合は?」
「立会人の官房長官の名のもとに中止になるでしょうね」
それを聞いて2人は互いの顔を合わせた。
両者ともに、渋い顔をしていた。
正直、裁判なんてさせたくない。
食い止めなくてはならないというのが、彼らの心境だろう。
もし冤罪だと分かったら、放送事故だけでは済まされない。
確実に打ち切りは間違いないだろう。
いいやそれよりも、もっと恐ろしい事が起きる。
『刑事裁判撤廃法』の是非を問われ、社会に影響を及ぼすのは目に見えていた。
もしかしたら、廃止してしまうかもしれない。
それでも私は誠心誠意、2人に頭を下げた。
夫の願いを叶えさせる為に………
「無理なことは承知の上よ。だけど協力して欲しいの。お願いします」
最初のコメントを投稿しよう!