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決まった途端、編成局長は裁判の準備をしようと、いそいそと早歩きで去っていった。
中田ちゃんもその後を追おうと歩き出そうとしていた。
「待って!中田ちゃんっ!」
私はすぐに呼び止めた。
彼は終始、渋い顔をしていたが編成局長がやると決めた以上、それに従わなくてはならない。
だから、私は今一度感謝を込めて、頭を下げた。
「中田ちゃん、本当にありがとう」
中田ちゃんは黙っていたが、頭を掻きながら苦笑いを浮かべた。
「別にいいですよ。俺こそチャンピオンの願いをできるだけ叶えさせてやりたいし。それに編成局長の性格上、決定を覆す事は難しいですから」
「うちの人は一生、あなた達に頭が上がらないわね」
「…………いや、おそらく編成局長の思惑は半分は違うかも」
「えっ?」
中田ちゃんは険しい表情で、編成局長の思惑について話してくれた。
「確かにチャンピオンへの感謝は本物でしょう。しかしリスクがデカすぎる。下手をすれば社会問題になりかねない事案です」
「確かにそうよね」
「それを承知で許可したのには、狙いは一つ。視聴率です」
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