第1話 嵐のような楽屋

4/12

102人が本棚に入れています
本棚に追加
/372ページ
液晶画面には3人の男たちが座っていた。 真ん中には俳優で当番組のホストでもある金田貴信(かねだたかのぶ)。 その金田さんを挟むように左側にはチャンピョン、そして右側には挑戦者の戸川健司(とがわけんじ)がいた。 挑戦者の戸川さんは名古屋在住の大学生で、得意分野はガンシューティングだそうだ。 ゲームで培った技術を生かし、このショーに参加したのだという。 確かに彼の腕前は見事なもので、愛知予選を難なく通過した。 しかも、イケメンで彼はチャンピオンを打ち勝つ若手のホープになる。 はずだった…… 記者会見は何事もないように行われ、ホストの金田さんは最初に挑戦者を褒め始めた。 「君の腕前、モニターで見てたよ。中々のものだね」 「ありがとうございます」 「やはり、大会参加は自分の腕前を披露するためかな?」 「そうですね。それもありますが自分の力量を測りたいって気持ちもありますね。そして、自分の腕前が社会に貢献しているんだと思うと感慨深くなります」 戸川さんは自分の腕前を自信満々に語っていた。 この爽やかな笑みをカメラに向かって見せる彼に視聴者や観客も魅了された。 特に観覧席の女性達のうっとりとした笑みに、彼は人気が出ると確信した。 だけど、我らがチャンピオンだけは違っていた。 「ハッ、白々しい。正直に言えよ。賞金が欲しいって。そして、俺の鼻っ柱をへし折ってやりたいってな」
/372ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加