第1話 嵐のような楽屋

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この一連のトーク……… 傍から見ればチャンピオンが挑戦者をいじめてるように見えるが当番組では、許されてる。 そもそもこれはトラッシュ・トークと言い、スポーツの大会の試合前、記者会見で相手選手を罵倒して揺さぶらせる作戦の一つなのだ。 無論、挑戦者もチャンピオンを口撃していいのだが、如何せんチャンピオンの方が遥かに上回ってる。 決して相手に主導権を握らせようとはしない口振りで相手を動揺させ、最終的には棄権にまで追い込む。 やはり元敏腕検察官の名は伊達じゃないのだ。 ところがこのトラッシュ・トークにより、今夜で3人もの挑戦者が棄権していった。 しかもでだ。 加瀬さんが、トラッシュ・トークをしてからは試合前のお約束と言わんばかりに視聴者からは受けが良かった。 ジョークを交え、たまに来る放送禁止用語が視聴者の笑いを誘うのだろう。 いつの間にか、トラッシュ・トークは当番組の名物とされてきたが、流石に連続してやられると誰だって怒る。 棄権されると本戦は中止となり、自動的にチャンピオンの勝利となるが、戦うことを前提としているので9連勝はそのままだし、ファイトマネーは貰えない。 そして、予選からやり直しを余儀なくされるのだ。 つまり一年ばかし、本戦を行っていないのだ。
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