異世界でも、男女問題はいつも面倒だ 2

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異世界でも、男女問題はいつも面倒だ 2

…困った…。これは困った…。 何が困ったって、…もー、めんどくさい。考えるのもめんどくさい。 ってくらい困ったの。 この前ナーク王子の勃起不全を治療しよう! ってことで、問診をして治療計画を立てたところだったのに、計画がすでに崩れてしまった。 そう、側室たちへの教育を断られてしまったのだ。 彼女たちの言い分としては、”特にナーク王子を心から愛しているわけではないから、治療師が居て、治療ができるかもしれないであれば そちらで解決してほしい”との事。 …まあ、そんなこと言われちゃうと、何も言えなくなってきちゃうんだけどね…? 精神的な面もあるだろうから、思いやりの心を持って接していきましょう!とかの、精神論から、実技に移っていこうと思っていたのに…。 …くそぅ…。出鼻をくじかれた…。 「それにしても、ナーク王子。いつまでこちらにいらっしゃるんですか?」 私は給湯室から少し顔を出しながら、椅子に体育すわりをしているナーク王子に声をかける。 一国の王子が体育すわりって…。 「…別にいいじゃないか。アンの処に今患者はいないわけだし」 「…ぐぬぬぬ…」 「それに、今は俺が患者じゃないのか?」 「…正論を…」 暇なの!?この国は平和だから暇なの!? 「アン、紅茶はまだか?」 「はいはいー」 ため息交じりに返事をする。 それにしても、最近はまっているのか、ナーク王子はここでよく、紅茶をご所望される。 「ナーク王子は紅茶お好きなんですか?はいどうぞ」 「ありがとう。いや、…うん…そうだな…」 「なんです?歯切れが悪いですね」 「…実は最近、食べ物の味が感じにくいんだ」 「え!?そういうことは、早く言ってくださいよ!」 びっくりしたついでに、自分用に入れた紅茶を少しこぼして指に掻けてしまった。 うーん、亜鉛不足かしら? 「それで、この紅茶は味がするってことですか?」 「ああ、そうなんだ」 「ほかの食べ物はどうですか?」 「うむ…最近はあまり固形物を口にしていないんだが…。この紅茶ほどではないな」 「…うーん…少し口の中を触診しても?」 「あぁ、頼む」 口腔内を診るなんて、研修医以来だけど、大丈夫かな? 少し心配になるけど、ナーク王子が座ってる椅子に向き合うように座る。 「…そういえば、問診のみで触診してませんでしたね」 「ん?あぁ、そういえばそうだな」 「…今から色々触診してよろしいですか?」 「え、…色々…?あ、ああ…?」 少しはてなマークを頭に浮かべながらのナーク王子。 それにしても…。 なんとなく、ちょっと恥ずかしくなってきたけど、相手は患者、相手は患者…。 「はい、じゃあまずは口を開けてください」 「あー…」 …なんで目つぶってるの?ま、いっか。 ナーク王子は目をつぶりながら無防備に、私に向けて口を開けている。 …あ、いっけね、舌圧子無いや。 ………。 …あー、いけないこと思いついてしまった。 いえいえ、これは診察。口内にも性感帯はたくさんあるから、刺激してみてどうか、の検査よ。うんうん。 あたしは左手をナーク王子のほほに添えると、親指で下唇をなぞる。 「…!?」 「ん?どうしました?」 ナーク王子はびっくりしたのか、目を見開いた。 あたしは冷静を装いながら、ナーク王子の反応に鼓動が早くなるのが分かった。 「はい。では、舌を出してください」 「ひょ、…ひょおは…?」 うまく喋れていないナーク王子がなんだかかわいく見えてきてしまった。 そしてまた目をつぶるナーク王子。…なぜ? 左手をナーク王子の頬に添えたまま、私は右手の人差し指で舌をなぞる。 ビクッと肩を揺らす振動を左手で感じながら、ツツ―っと手前に引き先端まで来たらもう一度来た道を戻りながら大きく円を描く。 「…っ!」 私の指先から、びくびくと振動が伝わってくる。 あぁ、ちゃんと感じているみたいだ。 そのまま上あごのザラザラしたところをなぞったり、歯の付け根辺りを触ったり。 「…っ、が、があ…」 「はい?」 「お、おうあんあ…?」 「あー、どうなんだ?って?…うん、まあまあな感度だと思いますよ」 指先に感じる生暖かい感覚と、湿った唾液が徐々にあふれて、ナーク王子の口から垂れそうになっている。 今思うと、もうこの時点であたしはもうスイッチが入ってしまっていたのかもしれない。 少し口角が上がるのがわかる。 「…今度はこれを舐めとってみてください」 ナーク王子の口へ入れる指を一本から二本へ増やす。 「…んっ」 「味わうように舐めてくださいね」 ちゃんとした診察と思っているのか、従順にあたしの指を舐め始めるナーク王子。 初めはたどたどしい舌使いだったが、徐々に味わうように私の指に舌を絡めてくる。 徐々にナーク王子の顔も赤くほてってきたのがわかる。 私もこの光景に興奮してきたのか、もっといじりたくなってきていた。 くっつけていた人差し指を中指を、開いてナーク王子の舌を捉えたり挟んだりする。 つーっと唾液が、ナーク王子の口から滴る。 「…味は、…しますか?」 「…っは…、ん…?」 聞き取れなかったのか、少し上がった息と、そっと開いたナーク王子の瞳が潤んでいて、少し目じりが下がっていた。 そんな表情のナーク王子に、私は正直、ゾクゾクとし興奮してしまった。 「(あぁ…、たまらない)」 ぽやっとした表情のナーク王子はやっと意味を理解した様子で、私の指から自分の唾液を舐めとり、ゴクリと喉仏を上下させてた。 唇から、ちゅっとリップ音がしたと思ったら 「…んっ、美味しい。…紅茶の味がした」 ナーク王子の発言に、こちらが恥ずかしくなってしまった。 ぱっと手をひっこめた私は 「そ、そうですか…。味覚も感度も大丈夫そうですね」 「……そう、…か…」 ぼーっとした表情でいる目の前のナーク王子は、なぜかこちらに顔を寄せてくる。 ん、何?こっちに手を伸ばして来るけど何何?? 「…なあ…」 「な、なんですか…?」 「もう一回」 「え?」 ナーク王子の両手が私の頬に伸び鼻が付きそうな距離だ。 「…今度は、アンの口を味わいたい」 「ちょ、え…」 「ダメ…か…?」 「や、そその…」 ナーク王子の顔面偏差値に、私は拒否できず。 しかももともと好みの顔であり、先ほどのナーク王子との診察で私も少しその気になってしまった。 少し顔を持ち上げると、どちらからともなく重なり合う唇。 互いに唇を挟みあい、感触を楽しむように動きあう。 何度か角度を変えると、ナーク王子の舌が私の口の中へ入ってくる。 私もそれに応えるように、舌を絡ませる。 「んっ…ふっん…」 ビクッと振動がしたかと思い、少し目を開けると、ナーク王子がびっくりしたような顔でこちらを見ていた。 少しの間は慣れていた唇は、また何度か重なり合った。 ナーク王子の舌を甘噛みすると、声にならない吐息が聞こえ、両手は頬から頭や耳へ移り、より口内奥へ舌が進む。 「はっ…あっ…ん…」 どちらの漏れた声か分からない音と、ちゅっ…ぴちゃ…という水音が卑猥に部屋の中を漂っていた。 ナーク王子の手が首筋を通り、鎖骨の付近を通るあたりで、はっと我に返った。 ま、まずい!このまま進んだらまずい!なんか、…色々まずい気がする!! ナーク王子の手を取り、やんわりと終了を告げる。 「…ナ、ナーク王子。その…どうでしたか…?」 どうでしたかってなんだよー!! 自分で聞いておきながら、あくまでも診察の一環ですよ、的な顔をしながら聞いてしまった。 どうせ顔が赤くなっているから、苦し紛れの質問だってバレてるだろうけど、一応、自分のメンツを保たないと。 「…うん。…ん。気持ちよかった」 ぼーっとした顔の中にも、少し驚いたような顔をしているナーク王子は、正直に答えた。 しかし、それが私をもっと恥ずかしくさせる。 「(気持ちよかったって、なんだよー!)そ、そうですか…良かったです」 「本当か?」 「え?ええ…(一応感じることは出来てるみたいだし)」 「…じゃあ、またよろしく頼む」 「あ、はい…(まあ、治療しないといけないし)」 「…よし!」 「…?」 良く分からないガッツポーズをするナーク王子は、今日は帰ると言って、診療所から帰っていった。 …はっ!も、もしかして、少し勃ったのか!? それなら、ちゃんと確認すればよかった--!! 変な残念感が出た私だったけど、ナーク王子とキスをしてしまった重大事件を再度思い出して、顔を赤くするのは、もう5分後の事だった。
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