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赤色創造神
大昔。
神様は、最初、青色をお造りになりました。
そして、緑色をお造りになりました。
そのあと、お休みになられました。
「赤色はいつ造られるんですか」
とある神様が質問してきました。
それに対し、別の神様が答えてきました。
「しかし、赤色は、造るのが困難なのだよ」
「その通り。青色や緑色のときみたいに簡単にはいかないものなんだよ」
大勢の神様達が集まって話し合いになりました。
「そりゃ確かに、もし赤色が完成すれば、すでに存在している青色や緑色と合わせて3つの色がそろうことで色のバリエーションが増えて、太陽も多くの色が混ざった光を発し、この世界はよりカラフルなものとなるだろう。そして赤色の血液というものができて、生物はより高度なものに進化していくに違いない」
「だが、そうなると知能を持ったものも現われるかもしれない。太陽から赤い炎を入手することで知恵が発達する一方、武力も進歩していってやがては神の領域をおびやかす恐れがある」
「そのときは大洪水でも起こして滅ぼしてしまえばいいのさ」
「私はそういうやり方に賛成できないな」
このように色々な意見が飛び交っていきました。
それから長い年月がたち、いよいよ赤色が完成しました。それにより世界は3色の光に満ちあふれていきました。
一方で、神々の予想した通り、生物の進化が著しくなっていき、そしてとうとう、人類という知的生命体が出現しました。その者達は、知恵を発達させることで生活を便利にしていく一方で、兵器をも進歩させていきました。
「ああ、いよいよ世界を破滅させるほどの威力のものまで作り出していったか」
「大洪水を起こしましょうか」
「どうせ放っておいても自ら滅亡してしまうでしょう」
「大隕石を落下させることで太陽の光をさえぎらせるというのはどうだろうか」
「赤色の光のみ届かないようにするのですか」
「そのようなことは可能かね」
「やってみないことにはわからないでしょう」
「しかし人類は、更に進歩すれば、これまで意見として出てきた神の奇跡すら克服することだって考えられるのではないでしょうか」
これ以降のことは、神様達ですら予測不能でありました。
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