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航平さんは、頭を深く下げて、微笑んで帰って行った。
私は宗介のお墓に何時間か手を合わせて、帰路についた。
家に帰ると、もう美佳も夫も帰っていた。
「今日、帰ってくんの遅くない?
夜ご飯はないの?」
美佳は私の顔も見ず、スマホをいじりながら言う。
「今日はお寿司でも頼んじゃおっか!」
私は今まで出せなかった明るい声と笑顔をやっと出すことが出来た。
「何言ってんだ?
俺から出してる生活費だろ?」
資料をテーブルに撒き散らして、吟味していた夫も口を出す。
「今日は私の誕生日なんだから、少しくらい贅沢してもいいでしょ?」
自分が何もプレゼントをしてないと気付いているのか、気まずそうな顔をしている。
「いいじゃん!
寿司食べたい!」
美佳はハイテンションで身を乗り出す。
「仕方ない。
今日はお寿司頼むか」
夫が言った言葉に、私と美佳は喜びの声を上げた。
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