episode1

5/5
前へ
/11ページ
次へ
その事故が起きたのは、私が18歳の誕生日を迎える前日だった。 母が血相を変えて、ノックもせずに私の部屋に飛び込んできた。 「宗介くんが!宗介くんが!」 ずっと宗介の名前を叫び、激しく泣き、狂ったように私の肩を揺らした。 「落ち着いて。宗介がどうしたの?」 泣き崩れる母の背中を摩り、落ち着くまで一緒にいた。 母は落ち着くと、一呼吸して言った。 「宗介くん、今日、信号無視した車に轢かれてしまったの……」 口を手で塞ぎ、母は嗚咽しながら泣き始める。 「え…… それで?宗介は無事なの?」 母は肩を震わせながら、私の胸に寄り掛かる。 「さっき、藤村さんから電話があって…… 宗介くん、救急車の中で息を引き取ったって……」 私はそれから何日か不登校になり、ベットでずっと泣いていた。 母は何も言わず、ご飯を部屋に持って来てくれて、一緒に泣いてくれた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加